影絵の木の葉 - フリーゲーム/RPG等のレビューと感想

 ゲーム評論家(自称)がゲーム全般・フリーゲーム・音楽・文学などについて、熱っぽく本音で語っていきます。自分に嘘はつけない。

表現作品的・芸術的

【フリゲ】『血の穢れを乗り越えて・・・』小説のような独白調の繊細な文章が光るシリアスな短編RPG(第9回ウディコン物語性4位)

ヴァンパイアの純血種は封印から目覚め、人間と出会った。

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おすすめ度:★★★

プレイ時間:2~3時間程度

付属の説明書より。
■ゲーム概要■
・シリアスとライトな雰囲気を織り交ぜたRPG
・人間とヴァンパイアを題材にしたストーリー
・主人公の内面描写が多い
・エンディングは一つ

『血の穢れを乗り越えて・・・』の一番の特徴は、独白調の文章が多めで、小説みたいなRPGだというところだと感じた。繊細に内面が描写されているし、ストーリーの構成も練られていると思った。音楽もシーンに合っている。

ただ、気になった点もある。一つは、グラフィック面の弱さだ。
マップチップは文章が織り成す世界観に対して素朴過ぎて、あまり合っていないように感じられた。マップの組み方自体も、荒削りというか、雑さがあるように見えるところが割とあった。とくにフィールドが殺風景だと思った。

もう一つは、戦闘のレベルデザインだ。
序盤はレトロゲームのように、フィールドの雑魚敵に全滅させられることが割とよくある。しかし、味方がすぐ強くなるので、中盤以降はほとんどの敵を瞬殺できてしまい簡単すぎる状態になってしまう。
せっかく、サブクエストとか福引きとか寄り道の要素もあるし、育てたキャラクターとか装備を活かせるくらいに敵の強さを設定してほしかったと思った。

そして、主人公のMPが宿屋や市販のアイテムでは回復しないというシステムも、あまり生かされていないと感じた。MPは「サクリファイス」を使って戦闘中に回復する必要があると言うだけで、MPの管理が重要になるような戦闘自体がなかったと思う。

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(戦闘画面。オーソドックスなシステム)

このように、荒削りさが見える部分があるにせよ、途中でプレイを放棄しようとは全く思わないくらい、ストーリーとテキストが面白かった。
文章量は多めだと説明書にはあったけど、複雑な語彙や難解な表現は出てこないので、身構える必要は無いと思った。これは個人的な好みかもしれないけど、もっと多くても全然問題ないと思った。続きを読む

【フリゲ】『冒険者35歳』手軽なSLG 老いの悲哀と人生の意味は?(第9回ウディコン総合8位)

老いて体力が衰えていく冒険者。何を求め、何を残せるか。そして人生の意味とは。

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おすすめ度:★★★★☆
プレイ時間:1回、20~30分程度(エンディングがいくつかある。不思議と何度もやりたくなる)

ゲームにおいて、冒険者は若く前向きで、希望に満ちて、これから何かを探し求めていく役割が与えられることが多いと思います。しかし、この『冒険者35歳』では事情が全く違います。

主人公は35歳を迎えたものの思うような結果は出ず、無名であり、かといって違う仕事を探すこともできずに惰性で冒険者を続けています。そして「自分の人生はこのままでいいのか?」「何かを残したい。人生に意味を持たせたい」という切実な衝動と苦悩を抱えています。なんて夢がなく現実的なんだ。

夢も希望もなく、それでも何かを成し遂げたいともがき苦しむ。しかしもう若くはなく年老いて能力は日ごとに落ちていく。親の介護もある。そんな悲哀と苦悩に満ちた人生のシミュレーターそれが『冒険者35歳』です。


テキスト量は控えめで、「仕事してお金を稼ぐ」「婚活」「病院」「親の介護」等の選択肢を選ぶだけのシンプルなゲームデザインです。しかし、なんて味があるんだろう。こういうゲームをウディコンにぶち込んでくるセンスがまず好きだわ。

(最近は作れてないけど、自分も昔はフリーゲームを作っていて、プレイヤーをドン引きさせるような内容のやつを表に出して、案の定反応は鈍くてへこんだりしていました。それを考えると、しっかりと評価される作品に仕上げてるのがすごいと思った)続きを読む

【感想・レビュー】『さらばケゴール島』 病とは?正常とは?世の中に対する箴言集(掌編デフォ戦RPG)

「患者」が集まるケゴール島。病とは?正常とは?


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『さらばケゴール島』の紹介ページ(VIPRPG GW2017)
(プレイ時間:30分~1時間 掌編デフォ戦(コマンド式)RPG)

(随時更新)VIPRPG GW祭り2017から選んだ作品の感想・レビューという記事も書いています。


ウィンディが患者の集まるケゴール島を舞台に、魔王把握するというストーリー。

『ドグマの箱庭』『引き裂かれたバダール』『アリスの標本箱』『シューニャの空箱』等を作られた作者さんによるものだと推察され、過去作のキャラクターもほんの少しだけ登場する。しかし、過去作のプレイは前提とはされていない。
過去作も超おすすめです。VIPRPGやフリーゲームの一種の最高峰と言っても過言ではないと思う。思想的にもゲーム的にも面白かった。作家性が強いところがいい。


いつも通り下ネタ注意。そして、前回の紅白の『かなしみの箱舟』でも「病」や「正常と異常」というようなテーマが扱われていましたが、本作でもそれらに関する考察のエッセンスのような言葉(アフォリズム)が満載されています。今回はネット文化や現代人に関することも多いように感じました。



これを連想した。昔読んで難しさはあったけど哲学の中ではやさしい方だと思った。「人は不意に何かを問われた時、その人の職業の規範から答えを返す」という旨の箴言が記憶に残ってるな。

ゲーテ格言集 (新潮文庫)
ゲーテ
新潮社
1952-06-27

ゲーテのほうだとかなりわかりやすい。でも深い。「自分の胸から出た言葉でなければ、人の胸を震わせることは出来ない」ってやつがとくに好きだな。ネット上でも一部が見られる。ゲーテの名言・格言集。支えとなる言葉 | 癒しツアーとか。


話を戻しましょう。
本作の魅力については、もちろん効果音の楽しさや戦闘の要素もありますが、戦闘は簡素なデフォ戦でとくに難しいところも無かったので、本作の最大の魅力はこの箴言集のような言葉たちにあると思います。

なので、いくつか引用してご紹介します。個人的に気に入ったものを6枚のSSでセレクトしました。


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「多数派」の暴力性については繰り返し語られていますね。とても共感しました。

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こういう人、ネットでもよくみかけるよなあ…。すぐ○○障害とか言ったりして。もちろん医学的根拠や病識はなく。

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両極端を参与観察のレベルで理解せずに、自分は良識的な中道派を気取っている人が私は嫌いです。そういう人は本当は自分の頭で何も考えていない。何も理解していないのに全てを知っているふりをしている。


『さらばケゴール島』のダウンロード(VIPRPG GW2017)
(VIPRPG作品はRPG_RT.exeが抜かれているので他のツクール2000作品から持ってくるか、RPGツクールローダーを使うのがおすすめ。また、ツクール2000によって製作されているのでRPGツクール2000 RTPが必要。)


(随時更新)VIPRPG GW祭り2017から選んだ作品の感想・レビューという記事も書いています。

1週間くらい前にツイッターを始めました。VIPRPG GW祭り2017のゲームの感想もツイートしていくつもりなので、良かったらフォローしてね! Twitter:@sdw_konoha

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【長めレビュー】『グリム・ディエムの冒険録 あるいは忘れられた海の底で』中編RPG。海底からの脱出は、同時に旧来のものからの脱出だったのかもしれない

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おすすめ度:殿堂入り
プレイ時間:8時間程度


 懐かしい感じのグラフィックですね。実際にやってみたところ、古き良きRPGのエッセンスを継承しながら、洗練が必要な部分は洗練されている、という印象を受けました。

ストーリーも少年の冒険譚でありながらも、それだけには留まらない。そこには様々な葛藤がある。戦闘システムもシンプルかつ面白い。マップもきれいで、音楽もいい。戦闘ではキャラクターがアニメーションします。ユーザー投票企画、フリゲ2016でも多数の票を獲得。

ストーリーとそのあらすじ

世界を冒険する冒険者、グリム。
新大陸へ行くために船に乗り、海を渡っていたところ
嵐に巻き込まれ海へ落ちてしまう。
目をさますとそこは薄暗い海の底の洞窟。
グリムはそこで出会った少女とともに海底洞窟からの脱出を試みる。
公式サイトより引用)

 常にストーリーの先が気になって楽しかった。世界の成り立ち、自分たちの行く末、ミステリアスで無口な少女、そして主人公の出自……色んな「謎」が少しずつ明らかになっていく。

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ゲームシステム

 戦闘システムは、シンプルな2vs1のサイドビュー。キャラクターの下に表示されているゲージが満タンになると行動できます(FFのようなATBではないのでゆっくり考えられる)。本作にはレベルという概念はなく、特別な敵を倒す等で入手できる「黄の楯」というものをステータスごとに配分します。これはいつでも自由に振り直しが可能です。敵に合わせたステータス配分を行うことがカギになってくるでしょう。

 私は難易度(3段階から選択可能)「普通」でプレイしましたが、ボスはなかなか手強かったです。私の探索が甘いのか(黄の楯)、戦略が悪いということも考えられますが、若干相手の行動やクリティカルの運に左右されているという感じもしました。しかし、理不尽というほどでもないでしょう。むしろ試行錯誤が楽しい。

 公式サイトのQ&Aにもゲームのヒントがあります。

総評

 エンディングを見た時点での本作の率直な感想としては、ストーリー良し、ダンジョン良し、戦闘良し、グラフィック良し、音楽良し……という非常に満足度の高いものでした。かなりの傑作RPGだと思います。

 ただ、唯一気になったのが一番最初のダンジョンです。このダンジョンだけ、「比較的迷いやすく、しかも敵とのエンカウントが多め」というものになっていたと感じました。他のダンジョンでは、それほど迷いやすくもなく詰まりやすいギミックもなく、敵シンボルも十分に回避する余地があると思うのですが、最初のダンジョンでは狭い道に敵シンボルがいて回避するのがとても難しく、しかもダンジョンを結構歩き回らないと先に進めない、という状況になっていると思います。他の部分はプレイアビリティによく配慮されているのに、この部分だけが少し浮いているような感じがしました。

 本作が優れた作品だという評判を知っている方なら問題なく許容範囲だと思います。他のゲームと比較してもそんなにいちいち指摘するほどのことでもないのかもしれません。ただ、評判を知らずに本作を30分~1時間程度プレイした人は「ずっとこの調子が続くのか…」と判断し、忙しい生活を送る方の中には投げる人がいるかもしれません。「それはもったいない。先に進めばそういうわけじゃないよ、すごく楽しいよ」ということを伝えたかったので一応触れておくことにしました。この程度の小さなことが気になった点として挙がってくること自体、本作が優れているということでもあるのかもしれませんが。

『グリム・ディエムの冒険録 あるいは忘れられた海の底で』のダウンロード(フリーゲーム夢現)

【こちらもおすすめ】
懐かしい感じのグラフィック・2vs1のシンプルで面白い戦闘繋がり:『リリアン・クー』暖かく優しい世界。しかし厳しさや切なさから目を逸らしてはいない。戦闘も骨太な、ほのぼのお散歩RPG
テンポが良くわかりやすい戦闘・細やかな演出とアニメーション繋がり:『かはたれどき+』(「エターなった定食」より)美麗なドット絵アニメと心を打つ物語の短編RPG

長めのネタバレありレビューと感想(要注意)

 以下、本作のストーリーの重大なネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。
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(攻略付)『リリアン・クー』暖かく優しい世界。しかし厳しさや切なさから目を逸らしてはいない。戦闘も骨太な、ほのぼのお散歩RPG

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おすすめ度:★★★★★
プレイ時間:7~8時間程度


WS000437 暖かくコメディタッチな優しい世界を東奔西走して、種やアイテムを集め、レベルを上げて、「マゼンタ遺跡」に封印されている"魔王"を倒しにいくRPG
 メインキャラクターはもちろんのこと、モブキャラまでがいきいきと魅力的に暖かく描かれている(山道を越えた先の寒い街に行くとモブキャラまでが労をねぎらってくれたりする)。ただし、それは厳しい現実から目を逸らした逃避的なものではない。世界にある悲しみともきちんと向き合ったうえで先に進んでいく、というところが私としてはとてもいいなと感じた。
 マップも丁寧で美しく、音楽も良いので歩き回っているだけでも楽しい。以前記事にした素晴らしい名作RPG、『ワールドピース&ピース』のT-FTAさんの最新作(17/1/23時点)。

 ある程度自由な順番でマップを攻略していくことが可能だが(任意の時点で魔王に挑みにも行ける)、次の行き先のヒントをくれるキャラクターもいるので、「次にどこに行ったらいいのかわからない」「迷子になった」というような心配はない。これはこういう色んなマップを歩き回るゲーム性においては重要な位置を占めている要素であると思われ、本作をユーザーフレンドリーにしている。


WS000431 戦闘はオリジナリティのあるシステムで、シンプルかつ面白い、本作のプレイ時間の長さにぴったりなものに感じられた。味方2vs敵1の戦闘で、特徴的なのはDEF(防御)の扱いと"インベントリアイテム(使い捨て)"の使用の二つだろう。

 本作の戦闘においてDEFは敵の攻撃を受けたとき、それが0になるまでHPの代わりに削られる装甲のような役割を果たしている。DEFは戦闘終了後に回復するが、HPはアイテムや魔法を使用しないと回復しない。ここまで聞くと、雑魚敵との連戦において消耗を抑えるためのシステムにも思えるが、実際はむしろボス戦で重要になってくる。ボス達は「味方キャラのMPマイナスDEF」の値のHPダメージというような特殊攻撃を放ってくることがあり、DEFの値を参照する攻撃はたいていうまく対処しないと致命傷になりうるものであるからだ。また、敵にもDEFの値が設定されており、HPは低いがDEFは高い敵にはDEF無視でHPダメージを与える魔法を使ったりと、戦略が求められる。
 さらに、戦闘では「インベントリアイテム」(剣・斧・盾・本等)が使用可能で、それはATKやDEFを上乗せしたり、魔法を発動することができる使い捨てのアイテムである。味方キャラクターのもともとのステータスは低めに設定されているので、この「インベントリアイテム」の使用が戦略のキーになってくる。しかしそれは湯水のように手に入るわけではないので、使うタイミングの判断が求められる(稼ぎは可能)。

『リリアン・クー』のダウンロード(作者サイト:えふたらぼ)

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同じ作者さん繋がり:『ワールドピース&ピース』痛みと再生の物語。大長編の大名作RPG
暖かくて手軽にできるゲーム繋がり:『180DAYS』手軽にプレイできるケモノ系ADV+RPG。兄妹の180日間の冒険

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攻略メモ(ネタバレなので反転。ゲームに同梱されている簡易ヒントも非常に有用)

クリスマスタウンのソフトクリーム屋の様子がおかしくなる問題の解決法は、ソフトクリーム屋の建物の左側から後ろに回り込んで見えない裏口から中に入り、そこでの戦闘に勝利すること。

Lv.4宝石の入手法:アクアマリンは、アダマン洞窟を入り口から右手に進んだ赤い宝箱の中にある。ガーネットは、ピラミッドの右の部屋の宝箱の中にある。最後の一つは、どこだっけ…?(メモし忘れた)

フルメタルの入手法:クリスマスタウンとオアシスタウンを繋ぐ井戸の中にいる極限生命体えだまめNAがドロップする。イベントリーアイテムの制作やLv.5宝石の入手に必要。

倒せない敵がいる:本の状態異常や、盾の活用等を考えてみる。ある程度進めていてどうしても難しいなら、魔女の魔法屋で購入できるアルテマの本を連打すればたいていなんとかなる。

お金が足りない:敵がドロップする交易品や鉱石を売っても足りないなら、クリスマスタウンとオアシスタウンを繋ぐ井戸の中から行ける盗賊のアジトの赤い宝箱を調べると、初心者救済措置が使える(偽造小切手が必要)。

隠し要素:カードを10枚すべて集め、リリアンの別荘の井戸の中に行くと…?


今日のひとこと

 この記事は、本ブログの記念すべき100記事目です。実質的な運営期間は約7か月で、三日坊主にならずに続けてこれてよかったと思っています。最近はアクセス数も右肩上がりで、継続は力なりですね。最初はなかなか自分の感じたことをうまく言葉に出来ずに苦しんでいました。不用意な言葉で人を傷つけたり、誤解を招く表現もあったと思います(あるいは現在進行形で)。それについては私の力不足であり、申し訳なく思っています。しかし、このブログの基本的なコンセプトは応援です。ブルーハーツの『人にやさしく』の甲本ヒロトの言葉を借りるならば、「期待はずれの言葉を言うときに 心の中では ガンバレって言っている」といったところでしょうか。今はみんながんばりすぎている時代だと思っているので、ここでのガンバレという言葉は「まだ足りないから何かしろ」という意味ではなく、応援やねぎらいの意味として解釈して頂きたいです(やっぱり言葉は難しい)。
書いている人
konoha
konohaTwitter [ブログ更新通知も]

 「満たされない人生に、ゲームでささやかな楽しみと癒しを」をテーマに発信しているブロガー。

 他には好きな本・音楽等とも全力で向き合う。ニコ生と某掲示板ばかり見ている病的な人物。
 息苦しい国だけど、マイペースに、人どうしの違いを大切に。

嫌いな言葉は「明るく」「協調性」「頑張る」。学校が嫌いだった。

その他、詳しいプロフィール


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