影絵の木の葉 - フリーゲーム/RPG等のレビューと感想

 自称・ゲーム/ニコ生評論家が文化的なことについて、熱っぽく本音で語っていきます。

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 近頃は、ゲーム関連とニコ生等について書いていることが多いブログです。PC用フリーゲームに関心がある方には、最近のおすすめ名作フリーRPG8選(2016年版)VIPRPGのおすすめ名作・傑作12選まとめ(2016年版)がおすすめ。  フリゲ以外に関心がある方はそのカテゴリの記事か、下の過去記事セレクションあたりがおすすめ。
過去記事セレクション(3/19):
最近のおすすめフリゲ:【長めレビュー】『グリム・ディエムの冒険録 あるいは忘れられた海の底で』中編RPG『リリアン・クー』中編RPG『戦海ディザイア』短編RPGVIPRPG紅白2016から選んだ8作品の感想とレビュー

ツクール2000製

『Dの冒険7 ~Dの謎!?~』カードで世界救うぜ!いい意味で中学生が作ったっぽいノリのRPG

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(左)ノリがコロコロコミックみたい。

おすすめ度:★★★★☆
プレイ時間:3~4時間程度

『Dの冒険7 ~Dの謎!?~』は、KPG(カード+RPG)というジャンルがうたわれているが(しかもcardなのに"K"PG)、ゲームシステムとしてはギミック入りのデフォ戦RPGだ。
VIPRPG紅白2016のユーザー投票で、総合1位を獲得。本記事はVIPRPG紅白2016から選んだ作品の感想とレビューをもとに若干の修正を加えたものです。

わざと中学生っぽい感じにしてる文章の書き方とか、画像の雑な加工とか、演出とか、この人の作品はとても特徴的で個性的なのですぐ作者がわかった。でも、ゲーム自体はちゃんとしてる。中学生っぽい極端な難易度とかバランス崩壊等はなく、快適にプレイできる。

作風が非常に似ているのでたぶん『出来る!君も!RPGツクール2000究極テクニック講座初心者向け』(VIPRPG夏の陣2015にて公開、感想記事も書いています)、『呪いのエクスカリバーⅢ ~呪われたエクスカリバー~』(紅白2015)の人の作品。私も両方プレイしましたが面白かったです。


『Dの冒険7 ~Dの謎!?~』のストーリーの大きな流れとしては、「カードで世界救うぜ!」というコロコロコミック的なものである。
全体としてはRPG的な予定調和の展開なのかもしれないけど、そこにうんざりさせないっていうか、各地で起こる会話やエピソードは何が起きてもおかしくないし予想できないような、わくわく感が楽しかった。フリーゲーム的な独特の味とオリジナリティが凄い。

オリジナリティといえば、仲間が増えるにつれて、パーティメンバーを入れ替えられるというよくあるシステムではなく、4人目の仲間枠で合体して一体のキャラクターとして扱われる適当な感じも良かった。発想がすごい。初めて見たわ。

終盤は熱い展開になっていくのだけれど、それまでは基本的に中学生っぽい感じの文章とテンション高めのノリで進むのでちょっと疲れるのが玉に瑕かもしれない。これはこの方の他の作品にも共通していることだと思う。

こういう見た目のゲームだけど、実はプレイアビリティに配慮されているのも嬉しい。難しめの謎解きを数回失敗すると救済措置が現れたり、戦闘やダンジョンについても同様。

『Dの冒険7 ~Dの謎!?~』のダウンロード(VIPRPG紅白2016)

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同じく紅白2016の投票の上位:『キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~』ただのブロック崩しではない。独自の工夫と細やかな演出

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(左)氷のFISSH

『キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~』ただのブロック崩しではない。独自の工夫と細やかな演出

WS000387  『キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~』は、「ブロック崩し」という古典的なゲームに独自の工夫を加えたユニークな作品。


 VIPRPG紅白2016のユーザー投票で総合2位を獲得。本記事はVIPRPG紅白2016から選んだ作品の感想とレビューをもとに若干の修正を加えたものです。


どんなゲーム?

 ATK、DEF*2、TECの4か所に「魔法」をセットすることで、ボールがオブジェクトにぶつかったときに爆発を引き起こしたり、ボールを跳ね返すための棒(杖)を横に長くしたりする等の有利な効果を時間制限付きで発動することができる。

 また、ステージの最後にはボスがいたり、棒(杖)を狙って攻撃してくる(命中すると杖が麻痺したり画面外に消える等の状態異常になったりする)敵がいたりとシューティングゲーム的なプレイ感もある。さらに、ステージにはギミックがあり(例えばボールを火をつけて氷のオブジェクトを溶かして壊したり)、プレイヤーを飽きさせない。

 さらに、ステージごとに挿入されるストーリーパートでは、少女っぽい印象のキャロルとこうもりの冒険が描かれ、細部まで作りこまれた演出が光っている。この部分だけでも見ていて楽しい。

総評

 90分程度のプレイ時間の中に、面白さが凝縮されており気軽にプレイできる作品という感じ。オリジナリティもありプレイアビリティも高い。

 後半になると難易度も上昇するが、ボールがゆっくりになり残機が増える「やさしさモード」もあるので苦手な方も安心できる。
 一つ気になった点を挙げるなら(私がプレイしたのは最新版でないのでアップデートで変わっている可能性もある)、一部の魔法が強すぎてせっかく9種類あるのにあまり使わない魔法が結構あることくらいだろうか。

 最後に触れておきたいのが、本作のようなブロック崩しもそうだし、シューティングゲームとかパズルとかでも言えることだと思うのですが、ゲーム性とは直接関係のない部分、グラフィックとか、音楽とか、演出とかも実はかなり重要だと思うんですよね。
 例えば、STGだと東方シリーズの音楽の楽しさへの寄与とか、弾幕の美しさとか世界観とか。今更モノクロのインベーダーをやる気にならないのは、そのゲーム性だけが原因ではないだろう。
 あるいは、パズルだと「ぷよぷよ」がただの無機質なジェルを扱うのではなくて「ぷよ」であることとか。アルルとかカーバンクルみたいなキャラクターがいることとか。連鎖や相殺の演出とかも熱いね。あとピンチになったら音楽が変わったりもね。
 本作の面白さを説明するには、こういう部分をしっかりと作っていることを見落としてはならないと思う。

『キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~』のダウンロード(VIPRPG紅白2016)

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『終わり逝く星のクドリャフカ』隻腕の男とロボットが寂し気な世界を探索する、細部まで丁寧なSF的RPG

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おすすめ度:★★★★☆
プレイ時間:2時間程度


「お願いです、ぼく達を愛したりしないで……」

――2253年8月。最終戦争により終焉を迎えた世界の片隅で、一体のロボットが目を覚ます。
隻腕の男に手を引かれ、それが目にするものは、変わり果ててしまったかつての――。
(公式より引用)

 ストーリーは、最初は自分が置かれている状況がよくわからないところから始まり、徐々に把握していくというスタイルで展開される。SF的世界観。打ち捨てられた場所で起動したロボットの主人公が、壮年の男性・カミオカとともに残された日記とかメモとかを頼りにしつつ探索していく、というのはとても雰囲気がいいですね。

 戦闘はツクール2000のデフォ戦に、「チャージ」というシステムを追加している。そのシステムは、他のゲームでいうところのMP的なもの(AP)は最初0の状態からスタートし、「チャージ」という行動をとることでMP的なものが蓄積し、それを消費してスキルを発動できるというものだ。また、レベルアップした時に成長するパラメータを自分で自由に決められる。
 戦闘にしろ、ダンジョンにしろ、細部まで丁寧に作りこまれているという印象。敵の行動もよく練られている。豊富な種類がある装備の耐性等をよく考えて、敵の情報(アイテムを使って確認できる)や使ってくる技をよく見て対応していかないと厳しいだろう。

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(画像右)Seraphic Blueのヴィルジニーっぽい敵

 私のプレイでは、雑魚は基本無視、稼ぎはせずにボスと死闘を繰り広げて瀕死の勝利(確か戦闘不能のキャラクターには経験値が入らない)でラスボスまでたどり着きましたが(レベル8・お金アイテム不足)、麻痺連打でHPを6割くらいは削れましたが、アイテムは確か一種類につき10個までしか持てないので相手のHPを削り切るまでに枯渇して敗北しました。そこで少しレベル上げをして、隠しアイテムとかを入手したら楽勝でした。そんな戦闘バランス。
 隠し要素とか、クリア後のボスとか、引き継ぐものの選択や高難易度の2周目とか、RPG好きが喜びそうな要素をたくさん用意しているなと感じました。それも攻略とかを見ずに自分で発見するのが楽しく、ちょうどいい難易度でしょう。

 気になったところは、ラストバトルにしても、その一つ前のボスにしても、エンディングにしても、そのシーンにおける因縁とか感動的な要素というものがあまりにもシーンの直前で明らかにされているように感じられ(要はストーリー展開が直線的過ぎるというか、伏線が弱いというかそんな印象)、気持ちがついていかなくて、「あ、そうだったんだ。」と私は思ってしまいました。

『終わり逝く星のクドリャフカ』のダウンロード(ふりーむ!)

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工夫されたデフォ戦繋がり:『リナックス×メビウス』丁寧に作られた遊びやすいVIPRPGの良作

今日のひとこと

 本作はSFで硬派な感じの作品でしたが、けものフレンズ(アニメ)って面白いの?まだ見てないんだけど。私にとって最近のアニメはまどマギで止まってます。

【長めレビュー】『グリム・ディエムの冒険録 あるいは忘れられた海の底で』中編RPG。海底からの脱出は、同時に旧来のものからの脱出だったのかもしれない

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おすすめ度:★★★★★
プレイ時間:8時間程度


 懐かしい感じのグラフィックですね。実際にやってみたところ、古き良きRPGのエッセンスを継承しながら、洗練が必要な部分は洗練されている、という印象を受けました。ストーリーも少年の冒険譚でありながらも、それだけには留まらない。そこには様々な葛藤がある。戦闘システムもシンプルかつ面白い。マップもきれいで、音楽もいい。戦闘ではキャラクターがアニメーションします。ユーザー投票企画、フリゲ2016でも多数の票を獲得。

ストーリーとそのあらすじ

世界を冒険する冒険者、グリム。
新大陸へ行くために船に乗り、海を渡っていたところ
嵐に巻き込まれ海へ落ちてしまう。
目をさますとそこは薄暗い海の底の洞窟。
グリムはそこで出会った少女とともに海底洞窟からの脱出を試みる。
公式サイトより引用)

 常にストーリーの先が気になって楽しかった。世界の成り立ち、自分たちの行く末、ミステリアスで無口な少女、そして主人公の出自……色んな「謎」が少しずつ明らかになっていく。

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ゲームシステム

 戦闘システムは、シンプルな2vs1のサイドビュー。キャラクターの下に表示されているゲージが満タンになると行動できます(FFのようなATBではないのでゆっくり考えられる)。本作にはレベルという概念はなく、特別な敵を倒す等で入手できる「黄の楯」というものをステータスごとに配分します。これはいつでも自由に振り直しが可能です。敵に合わせたステータス配分を行うことがカギになってくるでしょう。
 私は難易度(3段階から選択可能)「普通」でプレイしましたが、ボスはなかなか手強かったです。私の探索が甘いのか(黄の楯)、戦略が悪いということも考えられますが、若干相手の行動やクリティカルの運に左右されているという感じもしました。しかし、理不尽というほどでもないでしょう。むしろ試行錯誤が楽しい。

 公式サイトのQ&Aにもゲームのヒントがあります。

総評

 エンディングを見た時点での本作の率直な感想としては、ストーリー良し、ダンジョン良し、戦闘良し、グラフィック良し、音楽良し……という非常に満足度の高いものでした。かなりの傑作RPGだと思います。

 ただ、唯一気になったのが一番最初のダンジョンです。このダンジョンだけ、「比較的迷いやすく、しかも敵とのエンカウントが多め」というものになっていたと感じました。他のダンジョンでは、それほど迷いやすくもなく詰まりやすいギミックもなく、敵シンボルも十分に回避する余地があると思うのですが、最初のダンジョンでは狭い道に敵シンボルがいて回避するのがとても難しく、しかもダンジョンを結構歩き回らないと先に進めない、という状況になっていると思います。他の部分はプレイアビリティによく配慮されているのに、この部分だけが少し浮いているような感じがしました。
 本作が優れた作品だという評判を知っている方なら問題なく許容範囲だと思います。他のゲームと比較してもそんなにいちいち指摘するほどのことでもないのかもしれません。ただ、評判を知らずに本作を30分~1時間程度プレイした人は「ずっとこの調子が続くのか…」と判断し、忙しい生活を送る方の中には投げる人がいるかもしれません。「それはもったいない。先に進めばそういうわけじゃないよ、すごく楽しいよ」ということを伝えたかったので一応触れておくことにしました。この程度の小さなことが気になった点として挙がってくること自体、本作が優れているということでもあるのかもしれませんが。

『グリム・ディエムの冒険録 あるいは忘れられた海の底で』のダウンロード(フリーゲーム夢現)

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懐かしい感じのグラフィック・2vs1のシンプルで面白い戦闘繋がり:『リリアン・クー』暖かく優しい世界。しかし厳しさや切なさから目を逸らしてはいない。戦闘も骨太な、ほのぼのお散歩RPG
テンポが良くわかりやすい戦闘・細やかな演出とアニメーション繋がり:『かはたれどき+』(「エターなった定食」より)美麗なドット絵アニメと心を打つ物語の短編RPG

長めのネタバレありレビューと感想(要注意)

 以下、本作のストーリーの重大なネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。
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(随時更新)VIPRPG紅白2016から選んだ作品の感想とレビュー 現在8作、2/1更新

 ツクール製フリーゲームの祭典、VIPRPG紅白2016が12/24に開幕(ゲームの公開開始)しました!RPGツクール、特に2000に特別の愛着を持っている私としては心待ちにしていたイベントの一つです。フリゲ2016(年度ごとにフリーゲームに投票する企画)の得票数上位にもVIPRPGの作品があり、その位置はますます重要なものになっていると感じています。
(余談ですが、フリーゲームにおいては、たとえ一票でも、たとえ一つの感想コメントでも、作者のモチベーションに大きな影響を与えるものだと思います。私もその一票になれることを願いながら筆を続けたいと思います)

 全ての作品をプレイする時間的な余裕はおそらくないと思いますが、少しずつプレイして特に面白いと感じた作品について書いていきたいと思います。
 私も近頃エターなってばかりなので、作品を完成させた方々に改めて敬意を表します。家庭用でもPC版でもRPGツクール等のゲームコンストラクションツールを触った方なら容易にわかると思いますが、短編であったとしても一つのゲームを完成させるのはなかなかに難しいので……。バグ修正とかバランス調整も含めて。


※RPGツクール製の作品をプレイするためにはRTPが別途必要で、またVIPRPG作品は実行ファイルが抜かれているのでRPGツクールローダーの使用をおすすめ
します。

 新しいゲームが公開され、私がプレイし次第、この記事に追加更新したりリンクを貼っていくので、興味がある方はブックマークしておくのもいいかもしれません。また、この記事で気になった点として挙げたことは私のプレイ時点のものであり、アップデートされて事情が変わっているかもしれません。

もくじ

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書いている人:konoha
この世は生き地獄。争いが果てぬ阿修羅の世界。創作の光だけが救いだ。

ネットの暗部ばかり見ている病的な人間です。
好きなものは、ハースストーン、ニコ生、格ゲー界隈の配信、syrup16g、村上春樹、ユング心理学。詳しいプロフィールはこちら。

好きなフリゲは、セラブル、アナザームンホイ、ワールドピース&ピース、ざくアク、ドグマの箱庭シリーズ、ひよこ侍、他多数。
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