影絵の木の葉 ゲーム(特にフリーゲーム)/音楽/文学 等のレビューと感想

 "良い作品と出会い、より深く楽しむため"のレビュー・批評、そして思い出を熱くお届け。ゲーム全般・音楽・文学など。

ツクール2000製

  • 【考察・感想】『鬱夫の恋』いじめをテーマにした凄惨な短編RPG
  • 250本遊んだ私が選ぶ、VIPRPGおすすめ名作・傑作12選まとめ(2017年版)
  • 【フリゲ】VIPRPG GW祭り2017から選んだ8作の感想・レビュー
  • 【感想・レビュー】『さらばケゴール島』 病とは?正常とは?世の中に対する箴言集(掌編デフォ戦RPG)
  • 【感想・レビュー】『StarLight☆Mountain』 カジュアルにもディープにも楽しめる一筆書きパズル

【考察・感想】『鬱夫の恋』いじめをテーマにした凄惨な短編RPG

WS000291
「自分より下の奴らを、かさで強く叩きました」


『鬱夫の恋』について、考察と感想を書いていきます。後半部分はネタバレ注意。

おすすめ度:★★★★★
プレイ時間:1~2時間

(2017/9/30 加筆修正)

「自分より下の奴らを、かさで強くたたきました」これは作中に出てくる言葉であり、ロックバンド・THE BACK HORNの『ジョーカー』(イキルサイノウというアルバムに収録されており、私も記事(THE BACK HORN『イキルサイノウ』の個人的経験を交えた感想とレビュー)も書いてます)という曲の歌詞の一部でもある。

『鬱夫の恋』をプレイするに当たって意識せずにはいられない、スクールカーストや、「人間、誰かに攻撃されたらより弱いものを攻撃せずにはいられない」ということを象徴的に表しているように感じられた。

 本作のストーリーのあらすじ自体はシンプルだ。クラスのDQNやイケメンにいじめられ、苦しむばかりの日々を送っているウツオが、詩織という女の子と出会って話が動き始める。



このゲームはなぜ、プレイした者の心を動かすのだろうか

それは、『鬱夫の恋』が「ゲーム」であることをうまく生かしているからだと思う。

「小説」ならば、基本的に読者は自分で行動を「選択」することはない。

「ゲーム」ならば、「プレイヤーのが選んだ行動に対してゲームが反応する」という形で進行していく。

「小説」ならば、基本的にそういうことはないはずだ。どんな一本道のゲームでも、やらされてる感のあるゲームでも、そのコードはおそらく変わらない。選択の程度は変わるにしろ。


本作では、プレイヤーの選択の幅が狭い。行動は制限されている。

上記のコードの中で、あえてそうすることによって、いじめという行為の中での「選択のできなさ」「逃げられなさ」「どうしようもなさ」というものが表現されている。


また、「RPGのお約束」というものをうまく利用している。

コマンド式の戦闘という形で、「人の目」との戦いが行われたり、修正液のかけられたお弁当をどうするか、プレイヤーは選択を迫られる。

父親は死別し、女手一つで自分を育ててくれている母親が作ってくれたお弁当を、修正液をかけられたとは言え、捨てたくない。

プレイヤーは色々試してみるが、でもやっぱり食べられない。渋々、「ゴミ箱へ捨てる」を選ぶしかない。

――こういうプレイヤーへの働きかけは、ゲームならではのものだと思う。 


さらに、グラフィック面でも「RPGのお約束」がうまく使われている。

鬱夫の外見はゾンビ、イケメンは西洋風の鎧をきた勇者。スクールカーストや力関係、目立つ点などが抽象的に表されている。戦闘で出てくる敵キャラも、現代アートを連想させるような抽象的で、視覚的に歪んだものだ。


ダウンロード

作品のダウンロード(作者様のサイト、更新されている…! 読むと作者の方のバックグラウンドを知る事が出来る)
(別途RPG_RT.exe、ツクール2000RTPが必要。無い人はググってね)

作者さんの公式サイトの「実体験」と、反転文字の件

作者さんのHPに、現在は消されているが、以前は反転文字で凄まじい情念に満ちた言葉が書き殴られており、話題になっていた。私の曖昧な記憶では、2014年~2015年頃に消されたはず。


そしてその代わりに現在では、鬱夫の恋のもととなった実体験が「遺書代わり」に綴られている。どういう言葉で表現すればいいかわからないくらいの悲痛な体験だ。安易に人に勧められるものでもないと思いますが、せっかく作者さんが公開してくださったものなので、興味がある方は読んでみてほしいと思った。



以下、ネタバレに注意。 ネタバレの部分を飛ばす

続きを読む

250本遊んだ私が選ぶ、VIPRPGおすすめ名作・傑作12選まとめ(2017年版)

VIPRPGの名作・傑作たくさん集めました

 優れた作品が続々と公開されており、近年のフリーゲームを語るうえで外せないVIPRPG。シェアードワールドのメリットもあってか、気軽にプレイでき、面白さにアクセスしやすい作品が多いのが特徴かもしれません。

 そんなVIPRPGを私が実際にプレイした作品の中から、独自の目線で傑出した作品を12作(RPG6作・見るゲ2作・探索ADV2作・パズル2作)厳選して紹介していきます。新しめ(2014・2015・2016・2017)の作品が多め。戦略性の高い作品や、やりこみができる作品もやや多め。

タイトルがリンクされている作品は、クリックすると詳細な記事に飛びます。

 VIPRPG作品はRPG_RT.exeが抜かれているので他のツクール2000作品から持ってくるか、RPGツクールローダーを使うのがおすすめ。また、1作品除きツクール2000によって製作されているのでRPGツクール2000 RTPが必要。

 
※VIPRPG特有の世界観、"もしも"(シェアードワールド)について「これをプレイすれば全体像が大体わかる!」というような作品を少し探してみましたが見つかりませんでした。シェアードワールドはその時代の作者達によって流動的に変化していくものだと思うので、教科書的な作品を探すより何作かプレイしていくうちに自然とわかってくると思います。私もそうでした。

17/9/29 追記:加筆修正しました。あと、『もしもンクエストモンスターズ2 ポテチのふしぎな鍵』(育成RPG)を追加したい。ここにも後で書きますが、リンク先の記事にすでに記述があります。 )

目次
  1. RPG(6作品、中編~長編多め)
  2. 見るゲ(2作品、やるゲ派の方にも!)
  3. 探索アドベンチャー(2作品)
  4. パズル(2作品)
  5. さらに、VIPRPGを求める方へ。まだまだ面白い作品あります。追加で10作を紹介。
  6. 祭り作品から探すのも超おすすめ。
続きを読む

【フリゲ】VIPRPG GW祭り2017から選んだ8作の感想・レビュー

b2017-1
b2017-2

6/12 追記:No.4 『もしもンクエストモンスターズ2 ポテチのふしぎな鍵』、No.11 『万華郷 ~外伝~』、no.24 『魔法達のCoC~檸檬色の帆~』を追加。

ツクール製フリーゲームの祭典、VIPRPG GW祭り 2017が5/3に開幕(ゲームの公開開始)しました!

私も何作かプレイして、感想をツイッター(Twitter:@sdw_konoha)やこのブログに書いていたのでそれをまとめておきたいと思います。
あ、ちゃんと忘れずに感想掲示板にも書いとかないとな。自分も昔、祭りに作品提出したけどレスが付かな過ぎて、問題点の洗い出しすらできなかったときは悲しかったし。 本当にそんな感じ。steamの積みゲーはなかなか消化できないけど、VIPRPGはなぜかプレイ出来るんだよなー。
ということで、感想とレビューを始めていきたいと思います。


※RPGツクール製の作品をプレイするためにはRTPが別途必要で、またVIPRPG作品は実行ファイルが抜かれているのでRPGツクールローダーの使用をおすすめ
します。

新しいゲームが公開され、私がプレイし次第、この記事に追加更新したりリンクを貼っていくので、興味がある方はブックマークしておくのもいいかもしれません。また、この記事で気になった点として挙げたことは私のプレイ時点のものであり、アップデートされて事情が変わっているかもしれません。


もくじ


続きを読む

【感想・レビュー】『さらばケゴール島』 病とは?正常とは?世の中に対する箴言集(掌編デフォ戦RPG)

「患者」が集まるケゴール島。病とは?正常とは?


WS000405  WS000417


『さらばケゴール島』の紹介ページ(VIPRPG GW2017)
(プレイ時間:30分~1時間 掌編デフォ戦(コマンド式)RPG)

(随時更新)VIPRPG GW祭り2017から選んだ作品の感想・レビューという記事も書いています。


ウィンディが患者の集まるケゴール島を舞台に、魔王把握するというストーリー。

『ドグマの箱庭』『引き裂かれたバダール』『アリスの標本箱』『シューニャの空箱』等を作られた作者さんによるものだと推察され、過去作のキャラクターもほんの少しだけ登場する。しかし、過去作のプレイは前提とはされていない。
過去作も超おすすめです。VIPRPGやフリーゲームの一種の最高峰と言っても過言ではないと思う。思想的にもゲーム的にも面白かった。作家性が強いところがいい。


いつも通り下ネタ注意。そして、前回の紅白の『かなしみの箱舟』でも「病」や「正常と異常」というようなテーマが扱われていましたが、本作でもそれらに関する考察のエッセンスのような言葉(アフォリズム)が満載されています。今回はネット文化や現代人に関することも多いように感じました。



これを連想した。昔読んで難しさはあったけど哲学の中ではやさしい方だと思った。「人は不意に何かを問われた時、その人の職業の規範から答えを返す」という旨の箴言が記憶に残ってるな。

ゲーテ格言集 (新潮文庫)
ゲーテ
新潮社
1952-06-27

ゲーテのほうだとかなりわかりやすい。でも深い。「自分の胸から出た言葉でなければ、人の胸を震わせることは出来ない」ってやつがとくに好きだな。ネット上でも一部が見られる。ゲーテの名言・格言集。支えとなる言葉 | 癒しツアーとか。


話を戻しましょう。
本作の魅力については、もちろん効果音の楽しさや戦闘の要素もありますが、戦闘は簡素なデフォ戦でとくに難しいところも無かったので、本作の最大の魅力はこの箴言集のような言葉たちにあると思います。

なので、いくつか引用してご紹介します。個人的に気に入ったものを6枚のSSでセレクトしました。


WS000410   WS000419

「多数派」の暴力性については繰り返し語られていますね。とても共感しました。

WS000420   WS000421

こういう人、ネットでもよくみかけるよなあ…。すぐ○○障害とか言ったりして。もちろん医学的根拠や病識はなく。

WS000424   WS000429

両極端を参与観察のレベルで理解せずに、自分は良識的な中道派を気取っている人が私は嫌いです。そういう人は本当は自分の頭で何も考えていない。何も理解していないのに全てを知っているふりをしている。


『さらばケゴール島』のダウンロード(VIPRPG GW2017)
(VIPRPG作品はRPG_RT.exeが抜かれているので他のツクール2000作品から持ってくるか、RPGツクールローダーを使うのがおすすめ。また、ツクール2000によって製作されているのでRPGツクール2000 RTPが必要。)


(随時更新)VIPRPG GW祭り2017から選んだ作品の感想・レビューという記事も書いています。

1週間くらい前にツイッターを始めました。VIPRPG GW祭り2017のゲームの感想もツイートしていくつもりなので、良かったらフォローしてね! Twitter:@sdw_konoha

こちらもおすすめ

【感想・レビュー】『StarLight☆Mountain』 カジュアルにもディープにも楽しめる一筆書きパズル

諸君、私はパズルが好きだ。

フリーゲームでパズルといえばまず挙がるのが『ゼリーのパズル』でしょう。

そしてVIPRPGでは、 『デュラハンさんの頭をお持ち帰りする』高水準な倉庫番的パズル『キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~』ただのブロック崩しではない。独自の工夫と細やかな演出『Win' Wind' Windy』、『しろくろシンドローム』あたりが、私の記憶には新しく、高水準でした。

VIPRPG GW祭り2017でも、確か3作品がパズルというジャンルでエントリーされています。

全体としてはNo.03『スピリットブレスオブザワイルド』やNo.19『さらばケゴール島』あたりが、感想掲示板やツイッター等で話題になっているみたいですが、私はパズルがやりたい気分だったのでまずは本作をPIAI(プレイという意味のこの界隈のスラング)してみました。

『StarLight☆Mountain』紹介ページ(VIPRPG GW祭り2017)
(プレイ時間:エンディングを見るだけなら30分くらい。フルコンプリートまではもっと)

(随時更新)VIPRPG GW祭り2017から選んだ作品の感想・レビューという記事も書いています。


WS000398   WS000396


ルールを簡単に説明すると、石の上に書いてある数字の回数だけその石の上を移動することが出来て、かつ同じ色から同じ色の石へは移動できません。
そして全ての石の上の数字を消費しきればコンプリートなのですが、次のマップへと進むための条件が集めた星の光の数(石の上を移動した歩数)が一定以上というものになっているので、全ステージをコンプリートせずとも進むことが出来ます。
このカジュアルにもディープにも楽しめるゲームデザインがよく考えられているなーと思いました。

パズル自体も面白かったです。パズルゲーの面白さをどう言語化して伝えればいいんだろう。難しいな。比較するのが王道なんだろうけど、似ているフリーゲームとかってあったっけ。『一本道迷宮』とか連想したけどこれは違うなー。
まあ、アクション要素がない静的なパズルなので、手順を考えたりする知的な遊びが好きな人なら楽しめるはず。


WS000394   WS000395


そして忘れてはならないのが、パズルゲーのパズル以外の部分。前回の紅白の『キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~』あたりは特に秀逸だったけど、本作でもしっかりとしたストーリーがあるのも良いと感じました。設定に新鮮さを盛り込みつつも、VIPRPGのテンプレートに乗っ取った安心感と気楽さがある。


ただ、全体を見て気になった点もあって、それはパソコンが低スぺだと後半のステージの動作が重い(5月6日時点)。ステージ開始直後は軽いので、画面上を動き回っている星が多数になると重くなっているんじゃないかと推測します。感想掲示板にも同様な報告がすでにいくつか寄せられているので、これについてはアップデートを期待したいですね。


『StarLight☆Mountain』のダウンロード(VIPRPG GW祭り2017)
(VIPRPG作品はRPG_RT.exeが抜かれているので他のツクール2000作品から持ってくるか、RPGツクールローダーを使うのがおすすめ。また、ツクール2000によって製作されているのでRPGツクール2000 RTPが必要。)

(随時更新)VIPRPG GW祭り2017から選んだ作品の感想・レビューという記事も書いています。

こちらもおすすめ

今日のひとこと

1週間くらい前にツイッターを始めました。VIPRPG GW祭り2017のゲームの感想もツイートしていくつもりなので、良かったらフォローしてね! Twitter:@sdw_konoha
書いている人
konoha
konohaTwitter [ブログ更新通知も]

 "良い作品と出会い、より深く楽しむため"のレビュー・批評、そして思い出を発信しているブロガー。好きなゲーム・音楽・文学などと全力で向き合い、熱く本音で語っていく。

 もう今は友達もほとんどいないけど、むしろそのほうが楽しい。昔のあの日々の傷を癒したい。懐かしさや感傷に浸りたいと思っている。ニコ生と某掲示板ばかり見ている病的な人物でもある。

息苦しい国だけど、マイペースに、人どうしの違いを大切に。

嫌いな言葉は「明るく」「協調性」「頑張る」。学校が嫌いだった。

その他、詳しいプロフィール


初めての方へ→多様なジャンルから、当ブログのおすすめ記事を29本厳選した。

note [毒々しい創作関連]もやってます。
follow us in feedly

免責
 当サイトに掲載されているスクリーンショットや紹介文等の著作権は各権利所有者に帰属しております。
 当サイト及び外部リンク先のサイトを利用したことにより発生した、いかなる損失・損害についても当サイトは一切の責任と義務を負いません。