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「俺は俺でいるために ただ戦っている精一杯」
私は頭がおかしいほどsyrup16gを聴いていますが、その中でも1番おすすめしたい名曲である「I.N.M」(Mouth to Mouseに収録)についてまず語っていきます。とくに歌詞の意味や解釈について書いています。
こういう内容の記事だと、「照れ」が入っているような記事がネット上にはありますが、自分は全力で語りたいと思います。命を支えられるレベルでこういう曲には助けられてきたので。
まずは五十嵐隆さんのインタビューから、I.N.Mに関するコメント
SNOOZER #44 2004 - syrup16g archiveより引用。じゃあ、謎解き、その2。"I.N.M"は、何の略ですか?I.N.Mは、"I need to be myself"の略。
あ、それは、"I need to be myself"かな。でも、あんまり言いたくないんですけど。隠すほどのことでもないので言っちゃうんですけど。なんか、「自分の何もない空っぽさっていうか、そういうものを歌うのはどうなのか?」と、ずっと思ってたんですけど。ついにぶっちゃけやがったなっていう。実は俺は何もなくて、「俺が俺である必要がある」とか言い出さないといけないぐらい、キツイところにいるっていうのを歌っちゃってるっていう。「何かあるよ、実は」っていうところに商品価値とかがもしあったとすれば、「あんましないんで、すいません」っていう(笑)。
INMの歌詞の意味を読み解く。解釈していく。
syrup16g I.N.M 歌詞 / J-lyric.net(歌詞全文)君がなりたいというのなら
君でいれないというのなら
無視しきれないとまどいに
転がされてけよ もう一生
上記のインタビューで言われているとおり、「I・N・M」は「I need to be myself.」の略である。
この曲は、その名の通り、「自分のアイデンティティと様々な社会的圧力のはざまで苦しみ揺れ動く心」が表現されているように私には感じられました。
つまり、自分が自分でいるための曲。自分は何者なのか、何をすべきなのかが見えない。周りには誰もいない。でも、「語りつくされた物語 書き写すだけはもうしんどい」。誰かの模倣はしんどい。
次の問いのまたその後の
決してほどけない知恵の輪の
語りつくされた物語
書き写すだけはもうしんどい
とくにこの前の部分の、「星になりたいと~」から、「決してほどけない知恵の輪の 語りつくされた物語 書き写すだけはもうしんどい」の部分が好きですね。
やりたくもない不毛なことをやって安定を追い求めてもきりがないし、特別な能力を持たない人の行動はたいてい「時間通りに起きて やっているのは誰かの代わり」(「もういいって」 / delaydead)になってしまうんですよね…。
そんな状況でも、何かを求めて、まだ見えない何かを精一杯探す、という曲だと思います。
どうしようもない。何も見えない。そばには誰もいない。現状に対するとまどいだけがある。ならやっぱり自分と向き合うしかない。でもやっぱりあんまりうまくいかない。それでも「ただ前を知るために精一杯」。
ある日の、やや混み合った電車の帰り道。
周りにはスーツを着た人々。
そして、何者でもない自分。
今日もいつも通り疲れたなと振り返っていると、iPodからこの曲が流れてきました。
そしたら「そばに誰も見えず 立っていたんだ 歌っていたんだ」の部分が突然いつもより深く心に響いてきました。
「ああ、そういうことだったのか…」と五十嵐さんの見ていた光景が、目の前に鮮明に描き出された気がした瞬間でした。自然と熱い温度の涙が流れていました。
ああ、本当にそばに誰も見えなかったよ、syrup16gの音楽の他には。
「I.N.M」が収録されているアルバム。以下の記事でより詳しくレビューしています。
関連:【おすすめアルバム】syrup16g『Mouth to Mouse』『COPY』等を歌詞重視で語る
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