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柳本光晴といえば「響 ~小説家になる方法~」がマンガ大賞2017を受賞したので、それで知った方も多いかと思います。「響」も最高だけど、「女の子が死ぬ話」(全1巻)もおすすめなので、この二つの作品についての感想・評価を書いていきます。この漫画、最高でした。久々に読んだというレベルで面白かった。
「小説家」という要素は単なる雰囲気付けではなく、本当に小説を書く人のリアルな心情や現実が克明に描かれていた。
そして主人公の響の言動や行動が痛快で刺激的で。強烈な力を持った作品なので「嫌いだ」という方もいるようですが、賛否両論に分かれる作品はそれだけ生命力に満ちているということですね。柳本光晴は、時代の最前線で戦いながら漫画を描いている人だと思う。
2017年11月現在、既刊は7巻(12月に響~小説家になる方法~ 8 (ビッグ コミックス)が発売予定)。Kindle版も。ハウツー本的なタイトルから受ける印象と内容がかなり違う作品。
しかし、柳本光晴作品はこれだけではありません。「女の子が死ぬ話」も全1巻なので手を出しやすいし、相当面白かったです。
「響」と比べると、「喪失・死」そして「その後」に焦点を当てているという感じ。鋭くみずみずしい心情の描き方とか、「弱くて強い女の子」と「それを保護しつつも憧れている男の子」の構図などは共通していますね。
「女の子が死ぬ話」というタイトルなのでこれはネタバレでもなんでもないのですが、「もうすぐ死ぬ女の子」「その子と付き合いの長い男の子」「最近知り合った女の子」の若い3人が物語の中心です。
その人生の出来事の対比が実に痛切な漫画でした。序盤から引用します。
上記の「3人」で遊びに行く計画を立てているシーン。もう一人は病院で検査をしている途中。
「そうだな 時間はいくらでもあるしな」
この次のページに、もう一人の女の子に告げられる言葉が。
「おそらく1か月後には 入院してもらう事になると思う…」
勢いを増す者と沈んでいく者の対比が切ない。
でもこの作品はそれだけで終わらずに「その後」をしっかりと描いているので、鬱鬱とした読後感ではなかったです。おすすめ!
評価:★★★★☆(4点/5点満点中)
全1巻の手を出しやすい短編。内容はぎっしりと。Kindle版も。
女の子の繊細な心情描写が光る最近の漫画なら、他には「ぼくは麻理のなか」があります。「悪の華」でも知られる作者の別の作品。
>>【感想・考察】『ぼくは麻理のなか』 - 麻理の内面という"空白"
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