影絵の木の葉 ゲーム(特にフリーゲーム)/音楽/文学 等のレビューと感想

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村上春樹

  • 村上春樹の長編小説の超個人的・超独善的ランキング、ベスト5+α
  • 【考察・感想】村上春樹『図書館奇譚(ふしぎな図書館)』は、なんと絵本にもなっている初期の名短編だ
  • あるいはパインアメの穴について、村上春樹風の文章で語っているのかもしれない。
  • (書評・感想)村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』と癒しの効果
  • [読書] 内田樹 『もういちど村上春樹にご用心』 批評本。村上文学はなぜ世界中で読まれているのか?という問いに挑む ~トラウマとその癒しという観点から読んでみる~

村上春樹の長編小説の超個人的・超独善的ランキング、ベスト5+α

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このランキングで紹介する作品は、全て自分で実際にていねいに読んでいます。村上春樹という作家は、この作品は人気があるとかじゃなくて、「自分にとってどうなのか?」ということがことさらに大事だと思う。

なので、自分で読んでみてどうだったのかということに焦点を当てて、「超個人的・超独善的」に書いていきます。あと、「ハルキスト」という呼称が気持ち悪いと思っている層です。

wikipedia:村上春樹によると、村上春樹は2017年11月時点で14作の長編小説を発表している。その中で、「国境の南、太陽の西」「スプートニクの恋人」「アフターダーク」以外の11作を読んだので、自分の中のランキングを書いていこうと思います。入門者・初心者向けかどうかも書いています。

ランキングの基準・性格
  • どの時期の作品も好き。初期が好きとか、最近の作品が嫌いだとかは特にない。一人称が好きとか、三人称が好きとかもとくにない。どっちも好き。
  • 村上春樹の作品はどれを読んでも当たりはずれがなく、いつも一定以上の面白さを感じている(長編に限らず、短編もエッセイも翻訳なども)。他の作家、例えばドストエフスキーだと「罪と罰」は好きだけど「地下室の手記」は好きになれない、といった好みがあるけど。
  • 他の好きな作家は、太宰治・三島由紀夫・中島敦など。音楽も好きだけど、作中によく出てくるオールディーズはあまり聴かない。邦楽ロックと邦楽ヒップホップが好きな人間が選んでいる。
  • 読んでいて単純に楽しいと感じられるストーリー、文章を読むこと自体が気持ちいい・癒されるという作品が好き。意味を”考える”ことが重要だとは思ってない。”感じ取る”ことが大事。
  • 1位~4位あたりまではほとんど差がなく、決めるのに悩みました。

それでは、ランキングと題しましたが、テレビみたいに煽ったりひっぱったりするのもされるのもしんどいと思っているので、1位から順に行きます。
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【考察・感想】村上春樹『図書館奇譚(ふしぎな図書館)』は、なんと絵本にもなっている初期の名短編だ

『図書館奇譚』は、村上春樹の初期の短編集「カンガルー日和」に収録されている作品であり、絵本にもなっている(絵本と言っても、文章が中心で挿絵が多めという感じ)。

しかも創作意欲を刺激するらしく、2パターンの違う絵本になっている、絵本のタイトルは「ふしぎな図書館」(絵・佐々木マキ)と「図書館奇譚」(絵・カット・メンシック/ドイツ人)。しかも、小説の文章も複数のパターンが存在するという込み入った状態になっている。ただ、どれを読んでも面白いので問題はないww

ここでは、原作の小説『図書館奇譚』と、「ふしぎな図書館」(絵・佐々木マキ)の感想や考察について語ります。カット・メンシックの絵本版はまだ読んでません。佐々木マキ版はコミカルな感じの絵で、カット・メンシック版はダークで写実的な絵(後で)なので、両方読んでみると面白そう。

ふしぎな図書館 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
2008-01-16


まず、『図書館奇譚』が収録されている初期の短編集「カンガルー日和」どんな感じ? <簡単な考察・感想>

初期の短編集だけあって、他の短編集や長編とはかなり雰囲気が違います。でも、頻出のモチーフはすでに登場しています。洋風な食事シーンとか、電話とか、不思議な感じとか、女の子との出会いとか、オールディーズな音楽とか、”羊男”まで。

全体を通じて、癖がない短編集です。よく言えば、他の村上作品がちょっと苦手、という方でもすっきりと読めそうな感じ。悪く言えば、薄味というか、物語を理解する手がかりに乏しいという感じもする。詩に近いような風合いもある。

文章はかなり読みやすいので、ここから村上春樹を読み始めるのも良さそう。他の作品だと癖が強くて反発しそうな方も、ここからなら受け入れてくれることが期待できそう。長編を読むのはしんどい方にも、「村上春樹ってこんな感じだろ?」ということがさくっと理解できるのでおすすめです。頻出のモチーフは出てくるので。

あと確か性的な表現がなかったと思うので、小学生くらいのお子さんに読ませてもいいかもしれないくらい。

カンガルー日和 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
1986-10-15

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あるいはパインアメの穴について、村上春樹風の文章で語っているのかもしれない。

(パインアメをコンビニで見かけたので買って、ねじまき鳥クロニクル(書評・感想記事も書きました)を読んでいたらこんなのを書きたくなりました。)




僕はパインアメを舌の上で転がしていた。ざらついた表面から特有の甘味と酸味を感じた。僕と周りの状況がひどく混乱していた十年前。あのときのパインアメとそれは同じ味をしていた。そのことに僕は満足した。

「悪くない」と呟いた端から、言葉が虚空へと吸い込まれていくようだった。部屋に重い沈黙が下りた。やはり電話はかかってこなかった。まだ全ての問題が解決したわけではないのだ。あるいは、問題の解決が新たな問題を生むのかもしれないという気がした。絶望的に複雑な順序を要求する知恵の輪のように。

"甘酸っぱくてジューシー"、そうパッケージの袋に印字されていることが目に入った。このキャッチコピーは誰が考えたのだろう? それを考えたのは少なくとも羊男ではないだろう、と僕は思った。


今は耳を澄まし、ただ待とう。いざという時にダンスを踊れるように。ステップを踏みながら、前に進んでいくために。
あの時すでに、直子は損なわれてしまっていたのかもしれない。あるいは重要な何かを失って、変質してしまっていたのかもしれない。以前のような関係は築けないのだとしても、僕達はあの井戸を再び訪れなければならない。ギイイギイイイイ、ねじまき鳥が世界へと向かって鳴いた。

そのとき僕の口の中のパインアメが溶けて、やがて消えた。その穴の向こうには何が映っていたのだろう?


死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。

あるいはパインアメの穴は、黄泉の国へと続いているのかもしれないと僕は思った。


その夜、僕は加納マルタの夢を見た。マルタはピンクのトレンチコートを着ていたが、その下には何もつけていないことが僕にはわかった。腕にはなぜかクミコの腕時計をしていた。電話のベルが鳴り響いている。しかし気に留めずに、マルタは僕の上にまたがってきた。豊かな陰毛の感触が肌を通じて伝わってきた。僕はマルタの中に入って、やがて果てた。非現実的な射精だった。


次の朝。僕は汚れた下着を洗濯かごへ入れ、シャワーを浴びた。ふと、昨晩口にしたパインアメのことを思い出した。その穴を通じて何らかの回路が開いたのかもしれない。あの非現実な射精は、パインアメの穴を通過することによって、あの珍しい苗字の女性の中に到達しているような気がした。もちろん、メタファーとしてのことだが。


(おわり)


あとがき

パイン株式会社さん、村上春樹さん、そして読者の方に先に謝罪しておきます。すみませんでした…。馬鹿にするような意図はなく、私はパインアメも村上文学も好きです。ねじまき鳥クロニクル(書評・感想記事も書きました)面白いし。

でも、ほんとにこんなアクロバティックなシーンが1Q84にあるんだよね…。




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(書評・感想)村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』と癒しの効果

私が村上春樹を読んでいて一番感じることは、「癒される」ということだ。なので、その癒しの効果にフォーカスして今回は書いていこうと思う。

まず、村上自体の書評への態度もあるせいか、誰かの批評や感想を読んでみたいとはそれほど思っていない。昔は読んでたけどあまりピンとこないものが多かった。でも内田樹は良かったので、こういう紹介記事(内田樹 『もういちど村上春樹にご用心』 批評本。村上文学はなぜ世界中で読まれているのか?という問いに挑む ~トラウマとその癒しという観点から読んでみる~)も書いた。

春樹は小説の中でも、頭で考えたり解釈するよりも、もっと感覚的に受け取ることが重要な部類に入ると思う。これは音楽を聴くことに似ている。耳を澄ませて感じ取ることが心地良く、最大の効果があった。

今回の記事では、小説を読みながらその時々で感じたことを書き留めてみたいと思った。その理由はこうだ。
ドストエフスキーでも、マルシア・ガルケスでも村上春樹でもいいのだけど、作品が巨大・複雑であまりにも高度になってくると、読み終えた後振り返っても、「これはこういう物語だ」という自分なりの解釈もできなければ、感想を言語化することも難しいということがあるから。





第1部「泥棒かささぎ編」

冒頭から何かわからないけど不思議な効果を感じた。

第1部第3章「加納マルタの帽子、シャーベット・トーンとアレン・ギンズバーグと十字軍」(最初から80ページくらい)あたり、たぶんまだ物語のオープニングの段階で、事件はもう起きているのかもしれないけどさすがに何かが解決しているということはない、と思われる状況。奇妙な電話がかかってきたり、数人の女性と話をしたり、忘れ去られたような路地の裏に猫を探しに行ったりと。

しかしすでに読んでいる私には変化があった。過去とか、嫌な記憶とか、心に刺さったとげのようなものから痛みを感じなくなっていく。それらのものが相対化されていくというか、客観的に捉えられるようになっていくというか、距離を置いて俯瞰できるようになっていく感じ。食器に付いた油汚れが優秀な洗剤ではがれていくようなイメージ。

「急に何を言い出すんだ?」と誰もが思うかもしれないが、本当にそう感じている。錯覚だろうと何だろうと、実際にそうだから仕方がない。ただ描写を読んでいるだけで心地良い。
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[読書] 内田樹 『もういちど村上春樹にご用心』 批評本。村上文学はなぜ世界中で読まれているのか?という問いに挑む ~トラウマとその癒しという観点から読んでみる~

村上春樹の新作長編小説、『騎士団長殺し』が2017年2月24日に発売

 2017年2月24日に村上春樹の新作長編小説『騎士団長殺し』が発売される。なのでその前に、村上文学とは何かということについて考えてみたい。それにしても、このミステリのような、そしてとても精神分析学的な(フロイトとかユングとか)、このタイトルを目にしたファン達は色々と予想を巡らせているらしい。


村上春樹と批評

 私は村上春樹を愛読している。村上文学は読んでいて「これは自分にとって重要な小説だ」とか「なにかよくわからないけど、すごく面白いし癒される」と感じられるが、その正体が何なのかと問われると「よくわからない」というところが正直な本音だった。
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書いている人
konoha
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 "良い作品と出会い、より深く楽しむため"のレビュー・批評、そして思い出を発信しているブロガー。好きなゲーム・音楽・文学などと全力で向き合い、熱く本音で語っていく。

 もう今は友達もいないけど、むしろそのほうが楽しい。昔のあの日々の傷を癒したい。懐かしさや感傷に浸りたいと思っている。ニコ生と某掲示板ばかり見ている病的な人物でもある。

息苦しい国だけど、マイペースに、人どうしの違いを大切に。

嫌いな言葉は「明るく」「協調性」「頑張る」。学校が嫌いだった。

その他、詳しいプロフィール


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