影絵の木の葉 - フリーゲーム/RPG等のレビューと感想

 ゲーム評論家(自称)がゲーム全般・フリーゲーム・音楽・文学などについて、熱っぽく本音で語っていきます。自分に嘘はつけない。

探索アドベンチャー

  • 『MAJIKUSO FANTASY』ゲームのお約束を裏切る前衛的な表現が光り、いい意味でksgしている作品。
  • 『スーパーマホロイド』色んな能力を駆使してダンジョンの謎を解いていく探索ADV
  • 『棺の魔女』物語性に優れたVIPRPGのスレ投下ゲーの優秀作ADV
  • 『ヒメゴト』美しいCGと謎解きの難易度が心地よい探索ホラー[第11回ふりーむゲームコンテスト]
  • 『グスコーブドリの伝記』宮沢賢治の同名小説をもとにした短編ADV

『MAJIKUSO FANTASY』ゲームのお約束を裏切る前衛的な表現が光り、いい意味でksgしている作品。

WS000250プレイ時間:40分~60分程度

 『MAJIKUSO FANTASY』は、典型的なゲームの法則(看板のようなオブジェクトは自ら動かない、世界観やグラフィックは基本的に統一感がある等)をあえて破るような、前衛的な表現がたくさん盛り込まれた世界を歩き回って冒険するゲーム。

 VIPRPG作品ですが、「もしも」の世界観を知らなくてもそのテイストは薄目なのでゲームを十分楽しめると思われます。しかし、VIPRPGの祭りという文化(感想掲示板について等)や、ツクラーネタ(RPGツクール2000を使ってゲームを作って公開する側の人を対象にしたようなネタ)が多数含まれるので、これらになじみのない方には意味の分からないシーンがあると思われます。ユニークな視覚的表現や、いい意味でksgしている感じが面白いし気楽にプレイできるので、そういう方でもやってみるのもいいかもしれません。"VIPRPG GW2015"にて公開。

前提知識:祭りという文化やツクラーネタについて(ご存知の方は読み飛ばしてください)

WS000257 これらについて簡単に説明しておくと、(私も参加したことがありますが)VIPRPGの祭りというのはRPGツクールシリーズでゲームを作った人ならば誰でも参加することができる祭りです。何も特別な人間でないといけないわけではありません。そして、基本的に祭りには作品ごとに感想掲示板が設置されています。ゲーム作者の立場としては、それなりの時間とエネルギーを投入して作った自分の作品に対するプレイヤーの反応が気になります。感想コメントを期待する一方、叩かれる不安も抱えています。
 また、VIPRPGにおいてツクール2000はかなり頻繁に使用される制作ツールであり、そのツールに対する知識や「あるある」を前提としている作品もあります。戦闘アニメ、ピクチャ、マップID等については長くなりそうなので割愛します。重要キーワードの「F12」についてだけ触れておきたいと思います。「F12」とは多くのキーボードにあるキーの一つで、ツクール2000においてはゲームを終了してタイトルに戻るショートカットキーとなっています。つまりこの作品中に出てくる「F12」に関するメッセージは、ゲームを途中で投げられることに対しての作者の怯えであるわけです。

感想など

WS000255 看板が跳ねて動いたり、急にDQっぽいマップになったり(しかも主人公はカニ歩き)、ポケモンの対戦みたいなのが始まったりするような、プレイヤーの予想をことごとく裏切るような進行が面白かった。この作品の魅力は「意外な仕掛けによる驚き」によるところも大きいと思うので、多くは語れないのが残念であるが他にも好きなシーンがいくつもある。
 そして一見雑なように見せてksg感が演出されているが、実は高度な技術が使われていたり、遊びやすさへの配慮が為されており(難しめのミニゲームをスキップできる等)実力派の作者によるものであることがうかがえる。
 さらに、ゲームの説明やつまりやすいところのヒントが付属のpdfファイルになぜか英語で記載されている。実は私も、序盤の王国の「北の女性に話しかけろ」のところで先に進む方法がわからずF12を押したい衝動に駆られたが、pdfによると「北の方を調べろ」というようなヒントが記載されていたので救われた。
 気になった点としては、道中のポリゴンフラッシュみたいな視覚効果で(休憩用の画面が用意されているとはいえ)、気分が悪くなりそうになった。個人差はありそうだけど。

『MAJIKUSO FANTASY』のダウンロード(VIPRPG GW2015)

関連:いい意味でksg感と意外性のある作品繋がりで『謎が謎を呼んでいる』独特なユーモアが楽しい気楽な短編VIPRPG見るゲ[夏の陣2016]。私のお気に入りの作品の一つ。やみらいが出てくる見るゲ。

今日のひとこと

 最近まとめて読んだ(漫画・小説・ゲームが多すぎてもはや部屋に置く場所がなくなりつつあるので、なるべく漫画は電子書籍で買うようにしている)木多康昭『喧嘩稼業』(現在第7巻まで発売中)という漫画がめっちゃ面白かった。基本的には格闘漫画なんだけどとても知的な漫画で、トーナメントの参加者に事前に毒を盛ろうとしたり、参加者同士を焚き付けて試合外で同士討ちさせて漁夫の利を得ようとする等の盤外戦術が非常に面白い。そもそも、このトーナメントは招待制なので主人公には参加資格がなかったが、参加者の一人を直接倒すことで参加権をもぎ取っている。試合が始まっても頭脳戦・心理戦が繰り広げられて夢中になった。「友情・努力・勝利」に対するアンチテーゼのようにも感じられる。キャラクターの掘り下げも深く魅力的。過去に『幕張』のような下ネタギャグ漫画を描いていた作者とは思えない作品。最近読んだ漫画では一番面白かった。


『スーパーマホロイド』色んな能力を駆使してダンジョンの謎を解いていく探索ADV

WS000131プレイ時間:3~4時間程度

 様々な特殊能力を持つ魔法具現化達を使い分けて、ダンジョンの謎を解く探索アドベンチャー。『メトロイド』を模している作品ですが、アクション要素はありません。また、"もしも"の世界観によるVIPRPG作品ですが、ストーリー性は薄いので知っていなくても問題ないと思います。

 本家メトロイドよろしく、簡素なオープニングの後にいきなりフィールドに放り出される。しかし操作はシンプルなので、迷うことなくどういうゲームなのかすぐ理解する事が出来た。
 本作は、ダンジョンの謎を解いて先へと進んでいく探索アドベンチャーであり、様々な特殊能力を持つ魔法具現化達の使い分けがカギを握っている。例えば、最初から操作可能な「わてり」は「小さな火を消したり、水中を移動出来たり、植物を成長させたりする能力」を持っている。おそらく次に仲間になる「ふれいむさん」は「燭台に火を灯したり、植物を燃やしたりする能力」がある。キャラクターを切り替えながら、このような能力を組み合わせてダンジョンの謎を解いていくのが楽しいゲームである。

 気になった点をあげるならば、本作はなかなか難易度が高くマップも広めとなっているがヒント機能が無いことだろうか。一つでも謎が解けないと先に進めなくなるし、その謎を現時点の能力で解くことができるかもはっきりとはわからない。また広いマップのどこで必要な能力を取りのがしているのかもなかなかわからない、と若干ユーザーフレンドリーさに欠けるところがあるかもしれないと感じた。とはいえ、祭りサイトの感想掲示板(2012年魔法祭り)を見れば詰まりやすい場所のヒントが得られるので、今のネット時代においてはその部分もある程度ケアされているのかもしれない。

『スーパーマホロイド』のダウンロード(VIPRPG@Wiki)


 WiiUでプレイできるダウンロード版もある。余談だけど、スマブラDXのサムスはなかなか楽しいキャラだった。多人数戦でのチャージショットや、タイマンでもチャージショットに目線を引き付けておいて裏の択を通していく感じとか。

今日のひとこと

 ブログに記事のタイトルのリンク付きリストを設置してみました。これで少しみやすくなったはず・・・。

『棺の魔女』物語性に優れたVIPRPGのスレ投下ゲーの優秀作ADV

WS000123プレイ時間:1時間程度

 『棺の魔女』は、VIPRPGのツクスレ(主に掌編作品が日夜投下され、感想を付けあっている場所。祭りとは違い常時稼働している)に投下され、11代目手動保管庫の管理人さん曰く「2014年4月の当サイト稼動開始から本文執筆までの半年間で、 物語の完成度が最も高いと感じた作品でした。」(第05回作品紹介)と言われている作品(マップを歩き回るがRPG的な戦闘のないADV)。気になっていたのでプレイしてみました。
 VIPRPGの"もしも"の世界観(シェアードワールド)であるので、それを知らなくても理解できるように配慮されていると感じましたが、知っているほうが楽しめると思います。

冒頭のストーリー

 記憶をなくした主人公の女性・シェイド(デフォルトネーム)が「棺」とともに村で目覚める。どうやら介抱してくれたのは傍らにいる少女のようだ。その少女から温かいスープを受け取り、不吉な予感が立ち込めるセイスリーク大陸を歩みだすシェイド。そして彼女にどこからともなく呼びかける謎の少女の声、「助けて」――。

感想(ネタバレなし)

 確かに、スレ投下ゲーとして優れた物語であったと感じた。時折挿入される謎の少女の声を始めとし、戦闘シーンや挿入歌なども含めて演出が良いと思う。記憶喪失の主人公とともにプレイヤーも少しずつ自らが何者であるかを知っていくという構成も楽しめた。しかし、終盤のシーンのインパクトのために必要となる内容が物語内では「断片的な過去のシーン」として少し示されているのみであるため、そのインパクトがやや弱いと私には感じられた。ただ、この作品は"もしも"というVIPRPGのシェアードワールド作品なので、その世界観に強い愛着を持っているプレイヤーならばまた感じ方が変わってくるものだと思われる。そういう意味も込めて、冒頭で申し上げた通り私の感想としては「"スレ投下ゲー"として優れた物語」だというものになる。"スレ投下ゲー"という言葉をダブルクオーテーションで括ったのは、公開する場所に依存したものであるという意味を含む。

『棺の魔女』のダウンロード11代目手動保管庫、別途ツクール2000RTP及び、RPG_RT.exeかツクールローダーが必要)

関連:『もしもMTGだったら』シリーズ カードゲームMTG対戦の見るゲ!
ちなみに、私のスレ投下ゲーのおすすめはこちらです。


 記憶喪失繋がりで。物語の登場人物は主人公と幼いころの記憶がない元恋人の二人だけ。舞台は古い謎めいた家。その限定された要素で「記憶喪失」をうまく生かして、少しずつ明らかになっていく真実が、その描写がとてもスリリングで面白かった。さすが東野圭吾というようなミステリ。

タイム・リープ―あしたはきのう(電撃文庫)
 主人公が「ある日自分が『昨日の記憶』を喪失していることに気づく。そして、自分の日記を調べると、昨日の自分が書いたと思しき、見覚えのない文章があった」(wikipediaより)という状況に陥る作品。さらにwikipediaによると、「ライトノベルに分類される小説であるが、タイムトラベルもののSF小説としても高い評価を受けた作品。」であるらしく映画化もされているようだ。昔ブックオフで買って読んだけど、確かに緻密な構成が見事でとても面白かった。本作の下敷きの一つになったと言われる作品のハインライン『夏への扉』を私も最近読み始めた。

 『棺の魔女』の簡単な攻略はネタバレを含むので「続きを読む」から。
続きを読む

『ヒメゴト』美しいCGと謎解きの難易度が心地よい探索ホラー[第11回ふりーむゲームコンテスト]

ScreenShot_2016_0911_03_24_30 プレイ時間:1~2時間

 私は普段あまりホラーゲームをやらない。ゲームに限らずホラー映画や小説を読むことも少ない(たぶん怖さと面白さがあまりリンクしない脳の構造なのだと思う)が、ふりーむでのコメントをみて興味を持ったので久々に本作『ヒメゴト』に手を出してみた。

 フリーホラーゲームは『コープスパーティ』『Ib』『魔女の家』『クロエのレクイエム』『ゆめにっき』等の有名作くらいしかやったことがないので、本作がこのジャンルにおいてどういうところが優れているのかということ等はわからないため、率直に感じたことを綴っていきたいと思う。全然わからないけど、ホラーというジャンルも歴史が深く、時代や地域によって特徴(怖さの種類やエンディングの締め方等)があったり、色んな潮流があるみたいですね。

 まず最初に思ったことはCGが美しく、しかも独特の雰囲気がある(左上の画像)。
 余談ですが、私がフリーゲームを好む大きな理由の一つに2Dの作品が多いということがあると思います。2Dということは、たいてい手作業で描かれた「絵」によってゲーム画面・世界観が構成されていくことになると思います。PS4の最新ゲーム等における3Dのエンジンで描画されたもの(たいていの場合"リアル"であり、またそのことが売りにされていることが多い)よりも、「絵」のほうが人間にしか出せない「味」があるし「親しみやすい」と私は感じます。また、「抽象性の度合い」や「視覚的イメージの与え具合」というような議論もありそう(SFCのゲームのドット絵のキャラクターとリアルな3Dモデルが同じ行動をしても、与える印象は違う。あるいは小説を映画化すると印象が変わる等)。
 話を戻すと、本作もオリジナルのグラフィックが雰囲気・世界観の形成において大きな役割を果たしていると思う。グラフィックについては文字で語るより見ていただければすぐに伝わると思うので、言及はほどほどにしておこう。

 さらに、本作は探索と謎解きの要素がある。マップの広さがちょうどよくて冗長と思える時間はなく、また謎解きも難しすぎず簡単すぎず程よい難易度でプレイしていて気持ちよかった。ゲームファイルにヒントが同梱されているが、私にとってはそれを見ずに少し悩んで解ける程度だった。また、私はゲームでメモを取るのが好きではないが(メモを取るとコントローラから手を放して、PCなり紙なりに書き付ける行為がゲームへの没入の妨げになると感じる。あと単純に面倒)、頭の中に情報を記憶・整理して解ける範囲の謎解きだったのも良かった。

 一つ少し気にになったのは、CGや館から「和風」の雰囲気だけでなく「洋風」の雰囲気も漂ってきていたと私は感じていて、とくにそれが村のシーンと合わさると少し違和感を覚えた。主人公の村における「異物感」を引き立てる効果はあるのかもしれないけど。でもまあこれは、大した問題ではないと思う。

ヒメゴトのダウンロード(ふりーむ!)

 自分で貼っておいてなんだけど、オリジナルのRPGツクールDante98版のほうが好きです。


『グスコーブドリの伝記』宮沢賢治の同名小説をもとにした短編ADV

WS000327おすすめ度:★★★
プレイ時間:2時間程度

宮沢賢治の同名小説(童話)をもとにした短編アドベンチャー。著作権が切れた名作文学をゲーム化するというアイデアがまずいいですね。

ゲームの主人公は「グスコーブドリ」という名の少年(略してブドリ)。イーハトーブの大きな森の中で生まれ、三歳年下の妹「ネリ」とともに、森を遊び場として幸せにすくすくと育っていた。父親は「グスコーナドリ」といい、あたりでは名高い木こりだった。

ところが、ブドリが10歳になった年にはじまった冷害で、事態は一変する。二年続きの冷害による飢饉の中、両親は二人の子どもを残して姿をくらませてしまう。さらに、妹のネリは籠を背負った正体不明の男に連れ去られ、ブドリは森の外れまで男を追いかけたものの、力尽きて倒れてしまう。(ベクターレビューより)
私は今まで宮沢賢治の小説を読んだことが無かったので、本作をクリアした後に原作小説(青空文庫)を読んでみたのですが、作者様が苦心されて実に見事にゲーム化されたのだなと感じました。特に印象深かったのが、ラストシーンです。原作だとラストシーンは短めの文章で余韻を残すような童話らしい描き方がされているのですが、本作では探索したり、戦闘シーンがあったり、回想があったりと時間感覚が長めになっています。ここは作者様の工夫であり、よい効果をもたらしていると私は感じました。また、作品世界を取り巻く豊かで美しい自然などもよく再現されていると思います。普段ゲームをしていてもなかなか体験できない独特の味わい深さがあるのでおすすめの一作です。
 
同じように宮沢賢治の同名小説をもとにして作られた蜘蛛となめくじと狸も続けてやっていきたいと思います。

本作のダウンロード 


注文の多い料理店 (新潮文庫)
宮沢 賢治
新潮社
1990-05-29

 
書いている人
konoha
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 「満たされない人生に、ゲームでささやかな楽しみと癒しを」をテーマに発信しているブロガー。

 他には好きな本・音楽等とも全力で向き合う。ニコ生と某掲示板ばかり見ている病的な人物。
 息苦しい国だけど、マイペースに、人どうしの違いを大切に。

嫌いな言葉は「明るく」「協調性」「頑張る」。学校が嫌いだった。

その他、詳しいプロフィール


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