影絵の木の葉 ゲーム(特にフリーゲーム)/音楽/文学 等のレビューと感想

 "良い作品と出会い、より深く楽しむため" のレビュー、そして思い出を熱くお届け。

2017年11月

【感想・評価】柳本光晴作品は「響 ~小説家になる方法~」も最高だけど、「女の子が死ぬ話」(全1巻)もおすすめ漫画。

柳本光晴といえば「響 ~小説家になる方法~」がマンガ大賞2017を受賞したので、それで知った方も多いかと思います。「響」も最高だけど、「女の子が死ぬ話」(全1巻)もおすすめなので、この二つの作品についての感想・評価を書いていきます。



この漫画、最高でした。久々に読んだというレベルで面白かった。

「小説家」という要素は単なる雰囲気付けではなく、本当に小説を書く人のリアルな心情や現実が克明に描かれていた。

そして主人公の響の言動や行動が痛快で刺激的で。強烈な力を持った作品なので「嫌いだ」という方もいるようですが、賛否両論に分かれる作品はそれだけ生命力に満ちているということですね。柳本光晴は、時代の最前線で戦いながら漫画を描いている人だと思う。

2017年11月現在、既刊は7巻(12月に響~小説家になる方法~ 8 (ビッグ コミックス)が発売予定)。Kindle版も。ハウツー本的なタイトルから受ける印象と内容がかなり違う作品。


しかし、柳本光晴作品はこれだけではありません。「女の子が死ぬ話」も全1巻なので手を出しやすいし、相当面白かったです。続きを読む

【歌詞/意味/PV】"Street Dreams(ストリートドリームス) /Zeebra"はオリジナル版もPart2も、力強く希望を見せてくれる!

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文句なしのJ-HIPHOPクラシック(名曲)・Zeebraの「Street Dreams」と、その続編の「Street Dreams Pt.2 feat. ZEEBRA, SIMON, 晋平太」について、歌詞を引用しつつ熱く語っていきます。「自分のスタイル」を確立し、貫き通すのは困難ですが、それ故にかっこいいです。

もしかすると、フリースタイルダンジョンのバトルビートとして聴いて興味を持った方もいるかもしれません。そういう人を叩く人もいますが、せっかくzeebraさんや他のラッパー達が日本語ラップをもっと盛り上げようとしているのに、叩かなくてもいいと私は思います。誰でも最初はにわかだし初心者だ。新規が入ってこなくなると、業界は確実に縮小し衰退していきます。
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【漫画/ネタバレ感想・考察】『ぼくは麻理のなか』1巻/2巻/3巻(序盤) - 麻理の内面という"空白"

漫画『ぼくは麻理のなか』(押見修造)の感想やレビューを、物語の核心に触れない程度の軽めのネタバレありで語っていきます!

1巻・2巻・3巻あたりまでの序盤について。もう読んだ方も興味を持っている方も。

まずは自分のツイッター(@sdw_konoha)より、あらすじを。



見知らぬ部屋とは、麻理の部屋でした。主人公の男と麻理が入れ替わった?ということです。


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【考察・感想】村上春樹『図書館奇譚(ふしぎな図書館)』は、なんと絵本にもなっている初期の名短編だ

『図書館奇譚』は、村上春樹の初期の短編集「カンガルー日和」に収録されている作品であり、絵本にもなっている(絵本と言っても、文章が中心で挿絵が多めという感じ)。

しかも創作意欲を刺激するらしく、2パターンの違う絵本になっている、絵本のタイトルは「ふしぎな図書館」(絵・佐々木マキ)と「図書館奇譚」(絵・カット・メンシック/ドイツ人)。しかも、小説の文章も複数のパターンが存在するという込み入った状態になっている。ただ、どれを読んでも面白いので問題はないww

ここでは、原作の小説『図書館奇譚』と、「ふしぎな図書館」(絵・佐々木マキ)の感想や考察について語ります。カット・メンシックの絵本版はまだ読んでません。佐々木マキ版はコミカルな感じの絵で、カット・メンシック版はダークで写実的な絵(後で)なので、両方読んでみると面白そう。

ふしぎな図書館 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
2008-01-16


まず、『図書館奇譚』が収録されている初期の短編集「カンガルー日和」どんな感じ? <簡単な考察・感想>

初期の短編集だけあって、他の短編集や長編とはかなり雰囲気が違います。でも、頻出のモチーフはすでに登場しています。洋風な食事シーンとか、電話とか、不思議な感じとか、女の子との出会いとか、オールディーズな音楽とか、”羊男”まで。

全体を通じて、癖がない短編集です。よく言えば、他の村上作品がちょっと苦手、という方でもすっきりと読めそうな感じ。悪く言えば、薄味というか、物語を理解する手がかりに乏しいという感じもする。詩に近いような風合いもある。

文章はかなり読みやすいので、ここから村上春樹を読み始めるのも良さそう。他の作品だと癖が強くて反発しそうな方も、ここからなら受け入れてくれることが期待できそう。長編を読むのはしんどい方にも、「村上春樹ってこんな感じだろ?」ということがさくっと理解できるのでおすすめです。頻出のモチーフは出てくるので。

あと確か性的な表現がなかったと思うので、小学生くらいのお子さんに読ませてもいいかもしれないくらい。

カンガルー日和 (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
1986-10-15

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【小説版・書評・感想】大崎善生『将棋の子』 成田英二のすべてをかけた、将棋プロへの努力が実らなかったその後の人生は?

将棋の子 (講談社文庫)

将棋の子』(講談社文庫)は、『聖の青春』の映画が公開されたことでも話題の大崎善生によるノンフィクション小説。プロの将棋棋士養成機関であり登竜門でもある奨励会に所属していた数々の会員、それも夢半ばで破れて奨励会を去っていった彼らのその後の人生について書かれている。

臨場感・葛藤・その後の姿が克明に描かれていて、面白かったです。本書についての印象的なシーンを引用しながら詳しく語ったり、書評・感想などを書いていきます。

あらすじ

奨励会……。そこは将棋の天才少年たちがプロ棋士を目指して、しのぎを削る“トラの穴”だ。しかし大多数はわずか一手の差で、青春のすべてをかけた夢が叶わず退会していく。途方もない挫折の先に待ちかまえている厳しく非情な生活を、優しく温かく見守る感動の1冊。(アマゾンより)

成田英二の将棋に賭けた人生の長い物語と、何人かのプロを目指した棋士たちの短めな話が含まれています。詳しくは以下で引用しながら語っていきます。

成田英二の将棋に賭けた人生と、その後・現在まで

 私などはとても入れない、有段者専用の畳の部屋にどっかと座り、背後から太陽の光を受けた逆光の中で扇子を忙しくあおいでいた天才少年成田英二。小学3年で三段になっていた彼の相手になる大人ももうそこにはいなかった。
 その少年が棋士になるという、名人になるという大きな夢を抱いて東京に出て、挫折してその夢のたどりついた場所がここだというのだろうか。ここが成田の夢の行方だというのだろうか。
 私はビールを呷った。
 そんなはずはないと、どこから叫び声が聞こえた。しかし、二人の前に横たわっている事実もまた逃れようのない厳然とした現実だった。(p.312)

 あまりにも悲しい。それ以上の言葉が出てこない。しかも将棋はごまかしの効かない一対一の真剣勝負だ。名人を目指したその夢の行方……あまりにも強すぎる嵐のような羽生世代(羽生善治はハブゼンというあだ名で呼ばれる)に猛然と黒星を付けられ続けたが、十分に強かった棋士のその後の姿。

本書はこういう物語です。克明に描かれている内容は、実際に手に取ってみてください。かなり詳しく書かれています。
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ラップファンが映画「8 Mile(エイト マイル)」を見た感想やレビュー。エミネムの半自伝的映画から「苦しい状況を脱するために行動する勇気」をもらった。

捲土重来。やられたら、徹底的にやり返す! 音楽的にもラップが楽しい!

伝説的ラッパー・エミネムの半自伝的映画「8mile」をまだ見ていない方や、もう見て感想や解説を求めている方へ、「良い作品に出会い、より深く楽しむためのレビューや解説」をお届けします!

私がこの映画を見ようと思ったきっかけは、晋平太「フリースタイル・ラップの教科書」で、HIPHOP映画のおすすめとして「ストレイト・アウタ・コンプトン」などが紹介されていたが、その中で一番おすすめなのが本作「8 mile」だとされていた。なのでまずはこれから見てみることにした。

関連記事晋平太直伝!「フリースタイル・ラップの教科書」は、始め方や練習法はもちろん読み物としてもかなり面白かった!R-指定も推薦!

映画を観る前や後に、ラップについての基礎知識を知りたい方はこちらも。ラップとは、流れる音楽に合わせて韻を踏みながら歌う音楽です。とくにフリースタイルでは相手をかなりディスります。貧困層のリアルな生活が歌詞にされることも多いジャンルです。弱者のための音楽。

関連記事初心者がHIPHOP(ラップ)を超楽しむための知識と用語、文化などをまとめたよ。


それでは、いってみましょー!!




もくじ
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全力のおすすめ特集・まとめ
超厳選! 名作フリーゲームRPG 9選
過去数年間に遊んだ、200本以上の作品から!

実際に使って比較! ゲームや本をネットから売れるおすすめサービス 5選
その終わったゲームや本、ネットから簡単に売れますよ。高値が付くかも?

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Steamで買えるゲームから、安くて低スぺでも遊べる作品をおすすめ。

超個人的・村上春樹作品ランキング
村上春樹フリークの私が選びました。本をあまり読まない方にも!

死にかけた人間が選ぶ! 邦楽・鬱ロック
何度も命を救われてきた名曲たちをご紹介。音楽は命綱。

書いている人
konoha
konoha(コノラス)Twitter

ゲーム・音楽・小説など、クリエイティブなものに触れていないと死ぬブロガー。(月間アクセス数は約1.5万)

良かった作品の感想やレビューを、熱く・詳しく語ります。「攻めてる・本音の・繊細な・戦略的な」作品が好み。

自殺しそうになったので、もう頑張らないことにしました。ネットが友達。学校が嫌いだった。

その他、詳しいプロフィールと個人史

▼初めての方へ
多様なジャンルから、当ブログのおすすめ記事を29本厳選した。

▼noteに喜怒哀楽をぶつけてます
(過去の重い話や、好きなことで生きていくための戦略なども)
note:@sdw_konoha


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