昔、割とMr.children(以下、ミスチル)を聴いていました。ただ、徐々にミスチルの精神性と自分の精神性の乖離に気付いたり、あるいはミスチルの変化についていけなくなって、いつの間にか聴かなくなっていました。暗い曲が好きなので。あと恋愛の歌もあってもいいけど、多すぎるとちょっとな、と思ってしまう人間です。

新しい曲とか全然知りません。しかし、どこかのコンビニとか、レンタルビデオショップ等でふとミスチルが流れてくるたびに昔の思い出がよみがえります。聴いてた当時のシチュエーションが頭に浮かぶ。やっぱりいい曲はいい。

そういうわけで、ネガティブな私がミスチルの好きな暗い曲・病んでる曲・癒される曲7つほど選んでみました。それほどでもない曲も一部含まれています。歌詞の個人的な解釈、感想付き。熱狂的なファンではないので、アーティストの精神状態とか私生活には触れていません。純粋に歌とだけ向き合っています。

他のアーティストについては、「疲れた」「消えたい」「イライラする」という方へ、音楽アルバム5選あたりにまとめてあります。「闇のミスチル」(ファンからすると笑ってしまう)と、どこかの音楽雑誌で呼ばれたsyrup16gもおすすめですよ。

もくじ



現時点での一番好きな曲。シングル『掌 / くるみ』のほかに、ベストアルバム『Mr.Children 2001-2005 〈micro〉』にも収録されている。掌の歌詞(外部サイト)。

ステッカーにして貼られた本物の印
だけど そう主張している方がニセモノに見える

ここが一番好き。「本物」を「ステッカー」という形で証明し、わかりやすくアピールしている。しかし、そう主張すればするほど「ニセモノ」に見える。よくわかる気がします。「ステッカー」という若干チープさを感じさせる言葉選びもさすが。

解り合えたふりしたって
僕らは違った個体で
だけどひとつになりたくて
暗闇で もがいて もがいている

「抱いたはずが突き飛ばして 包むはずが切り刻んで」という逆接的な表現を連打したあとにこう続く。やりたかったことと、実際に自分がやったことは正反対。そんなことがよくある気がします。

他の部分では、「夢見てるから儚くて 探すから見つからなくて」とも歌われ、ここも好きだな。ポジティブなもの(「夢を見る」「探す」)ゆえに、僕らはネガティブな状態(「儚くて」「見つからなくて」)に追い込まれている。ここに真理がある気すらしてくる。

この曲で繰り返し語られるのは、「僕らは一つになりたいけど、うまくいかない。僕らは一つにならなくていい、認め合うことが出来れば」ということです。今という時代において、ここにこそ救いがあるのかもしれない。必要なのは、一つになること、同一の存在になることではなく、ばらばらな一つをお互いに認め合うこと。価値観でもなんでも。

ニシエヒガシエ



7th Album『DISCOVERY』収録。ニシエヒガシエの歌詞(外部サイト)。14番目のシングル曲でもある。ちなみに、15番目のシングルは『終わりなき旅』というとても前向きな曲なので、人間で実に多面的ですね。余談ですが、ネガティブな私でも『終わりなき旅』は割と受け入れられます。こういう間口の広さもミスチルの魅力なのかもしれない。

片一方は天使 もう一方は悪魔で uh…haha
分裂しそうなんだ 抗鬱剤をちょうだい uh…ha ha
暗い未来を防ぐんだ 永い迷宮みたいな 青春だ

この曲で語られているのは、「ポジティブな外見・表面」となぜか「ネガティブになっていく内面」の分裂、乖離だと感じます。それがタイトルの「ニシエ」「ヒガシエ」の意味であり、「片一方は天使 もう一方は悪魔」ということであると私は解釈しています。

「明るい未来を目指す」ことが、いつのまにか「暗い未来を防ぐ」ことにすり替えられている。それは「永い迷宮みたいな 青春だ」。

マシンガンをぶっ放せ

カップリング集アルバム『B-SIDE』や、鬱アルバムとして知られる3rd『深海』に収録。マシンガンをぶっ放せの歌詞(外部サイト)。

見えない敵にマシンガンをぶっ放せ Sister and Brother
正義も悪もないこの時代を行進していく兵士です
殺人鬼も聖者も凡人も 共存してくしかないんですね

いかにもポストモダン的な困難。善悪の基準がない。誰も正しくないし、何が正しいのかもわからない。すべては宙に浮いている砂上の楼閣。しっかりとした根を張っていない。そこでは、「殺人鬼」とも「共存してくしかないんですね」ということになる。そんな時代。曲の全体に諦めが漂っている。

僕らは「兵士」だけど、戦う相手は「見えない敵」。誰を倒せば救われるのだろう? この怒りはどこに向ければいいのだろう? 一切が闇の中。暗中模索。「救いの唄」は聞こえてこない。

「どうせ逆らえぬ人を殴った 天使の様な素振りで」という歌詞も好き。悪魔は天使のような顔をして近づいてくる。暴力的行為は「天使のような素振りで」行われる。しかもそれは「どうせ逆らえぬ人」に対して。
ニセモノの貼りついたような笑顔を浮かべた人々。気づかないようなふりをして、他人を傷つけている。自分の方が上だと、天使のような言葉を用いて威圧している。自分より下の、「どうせ逆らえぬ人」に対して。

未来

ベストアルバム『Mr.Children 2001-2005 〈micro〉』等に収録されている。未来の歌詞(外部サイト)。ポカリスエットのCMでもおなじみ。CMの印象とは全く違う曲。商業的な戦略に辟易してしまいますが、それはまあ大人の事情というか、それはさておき。

進入禁止だって
あらゆるもの拒絶して
追い払ったのは僕だから

誰も迎えに来ない
ちゃんと分かってるって
だけどもう少し待ってたい

ここすごい。「あらゆるもの拒絶」したのは「僕」だから、「誰も迎えに来ない」。それは当たり前。「ちゃんと分かってる」。「だけどもう少し待ってたい」。

この心境、多くの人の胸の内を的確に射抜いたような、はっとさせられるような表現だと感じます。「進入禁止」と他人と距離を置いたけど、寂しさもある。都合よくだれか来ないかな。まあそりゃ、来ないのは分かってるんだけど。という感じ。

「ちゃんと分かってるって」という前置きがいかにもミスチル的だと感じる。自分が置かれている状況、自分がやってきたことを俯瞰している。
自分の心情をストレートに綴りすぎるのは、なんだかどぎつくなるし、気恥ずかしいという、いかにも現代的な感じ。それでも日常は過ぎていくし、一応やることはやるし、外見だけは小奇麗にしとかないとね、みたいな。今この瞬間に全力投球しても何も変わらないという諦念と俯瞰と、素直な気持ちを表現することに対する羞恥心のようなもの。やっぱり、いかにも現代的な人間関係やライフスタイルといった感じ。それを代表的に表現しているのはミスチル、すごいね。

ALIVE

6th Album『BOLERO』、ベストアルバム『Mr.Children 1996-2000』等に収録。ALIVEの歌詞(外部サイト)。

この感情は何だろう 無性に腹立つんだよ
自分を押し殺したはずなのに
馬鹿げた仕事を終え 環状線で家路を辿る車の中で

一人暮らしの暗い部屋に住む男が、帰り道に「馬鹿げた仕事」、今日一日の生活を振り返るような雰囲気の曲。曲のテンポやメロディも心なしか内省的。

自分でもわからないうちに胸にたまっていた感情。「この感情は何だろう」「無性に腹立つんだよ」。

環状線で家路を辿っている車の中で。
車という個人的な、一人になれる空間。それは、「馬鹿げた仕事」で出会った人々との対比なのかもしれない。

「全部おりたい」と思いながらも、そうは行かずに一日が過ぎていく。このままじゃダメだと思っていてもどうしようもない。「愛し合える時を待つのかい」、本当に? 具体的な希望はあるのかい?

そして、そんな荒野の険しい道でも、微かな希望を信じて歩んでいく。いつか花が咲くかもしれない。少なくとも、今はそういうことにしておこう。
最後の、「少なくとも、今はそういうことにしておこう」というところまでは歌詞に含まれていないが、そういう余韻があるような気がした。

タガタメ

11th Album『シフクノオト』のトラック11。ベストアルバム『Mr.Children 2001-2005 〈micro〉』にも収録されている。タガタメの歌詞(外部サイト)。私はネガティブな人間なので、「かろうじてできることは愛すこと以外にない」「ただ抱き合って」のような歌詞には共鳴できなかったのですが、そんな人間にもしっかりと聴かせて、印象と存在感を残す力がある曲でした。具体的には以下の部分が好きです。

左の人 右の人
ふとした場所できっと繋がってるから
片一方を裁けないよな
僕らは連鎖する生き物だよ

この部分とか、さらっと書いてる感じがするけど、長くないこの部分のうちにとても優しい世界観が提示されていると感じます。聴き手に語り掛けるような口調で、自分の努力をあまり表に出してくる感じはしないけど、この歌詞が書けるまでには相当な試行錯誤があったのだろうなと思います。そんな哲学。

そして、この後の部分では、「この世界に潜む 怒りや悲しみに あと何度出会うだろう それを許せるかな?」と歌われ、「もし明日晴れたら、公園でぶらぶら何も考えずに歩こう」という内容が続きます。これも、聴き手の過去とか、経験に対して、俯瞰するような視点を与えていて、しかも「それを許せるかな?」という押しつけがましくない問いかけの形で語られている。「明日晴れたら、公園を歩こう」という未来志向も含まれていて、とても優しく、癒しの効果も期待できそう。

曲全体としては、個人的には素直に「好き!」とは言えないものの、実力は認めざるを得ないし、また聴きたくなる曲。

星になれたら

2nd Album『Kind of Love』のトラック9。ベストアルバム『Mr.Children 1992-1995』にも収録。星になれたらの歌詞(外部サイト)。

冒頭の歌詞。

この街を出て行く事に
決めたのは いつか 君と
話した夢の 続きが今も
捨て切れないから

「夢」のために「この街」を出ていく。それは「君」から離れていくということでもある。でも、名残惜しい。でも、歩き出す。それは「夢」のため。

ネガティブな私には「夢」というポジティブワードが若干きついですが、それでも励まされる。「笑われることにも慣れた」という部分も好き。ミスチルはさらっと、そして親密に、新たな観点を聴き手に提示しているところが好きです。



以上、(MV/感想/解釈あり) 暗い人間が選ぶ、ミスチル病んでる曲7選 (Mr.children おすすめ曲紹介)でした。

これからミスチルを聴くなら、ベストアルバム『Mr.Children 1996-2000』か『Mr.Children 2001-2005 〈micro〉』あたりが私としてはおすすめです。この時期のミスチルが好きだし、有名な名曲揃いだし、当時の思い出とかがよみがえってきそうな感じがします。今回ご紹介した曲もここらへんに入っているものが多いです。

他のアーティストについては、「疲れた」「消えたい」「イライラする」という方へ、音楽アルバム5選あたりにまとめてあります。「闇のミスチル」(ファンからすると笑ってしまう)と、どこかの音楽雑誌で呼ばれたsyrup16gもおすすめですよ。
  
この記事を書いた人

konoha  konohaTwitter [ブログの更新通知も]note [毒々しい創作関連]

 「満たされない人生に、ゲームでささやかな楽しみと癒しを」をテーマに発信しているブロガー。他には好きな本・音楽とも全力で向き合う。ニコ生と某掲示板ばかり見ている病的な人物。息苦しい国だけどマイペースに、人どうしの違いを大切に。 嫌いな言葉は「明るく」「協調性」「頑張る」。学校が嫌いだった。 その他、詳しいプロフィール