ツクール製フリーゲームの祭典、VIPRPG紅白2016が12/24に開幕(ゲームの公開開始)しました!RPGツクール、特に2000に特別の愛着を持っている私としては心待ちにしていたイベントの一つです。フリゲ2016(年度ごとにフリーゲームに投票する企画)の得票数上位にもVIPRPGの作品があり、その位置はますます重要なものになっていると感じています。
(余談ですが、フリーゲームにおいては、たとえ一票でも、たとえ一つの感想コメントでも、作者のモチベーションに大きな影響を与えるものだと思います。私もその一票になれることを願いながら筆を続けたいと思います)

 全ての作品をプレイする時間的な余裕はおそらくないと思いますが、少しずつプレイして特に面白いと感じた作品について書いていきたいと思います。
 私も近頃エターなってばかりなので、作品を完成させた方々に改めて敬意を表します。家庭用でもPC版でもRPGツクール等のゲームコンストラクションツールを触った方なら容易にわかると思いますが、短編であったとしても一つのゲームを完成させるのはなかなかに難しいので……。バグ修正とかバランス調整も含めて。


※RPGツクール製の作品をプレイするためにはRTPが別途必要で、またVIPRPG作品は実行ファイルが抜かれているのでRPGツクールローダーの使用をおすすめ
します。

 新しいゲームが公開され、私がプレイし次第、この記事に追加更新したりリンクを貼っていくので、興味がある方はブックマークしておくのもいいかもしれません。また、この記事で気になった点として挙げたことは私のプレイ時点のものであり、アップデートされて事情が変わっているかもしれません。

もくじ

No.8 一番輝く星を探して

WS000401 20分程度のシリアスな見るゲ。雪山に出かけたやみっちとライチは凶暴なオオカミに遭遇する。大切なパートナーを失った人たちがその後どう生きるかを描いている。

 歩行グラがクリスマスバージョンで季節感があって良い。挿入歌のシーンも印象的で良かった。うまく言葉に出来ないけど、冬とかにちょっと眠い時にぼんやりとして軽い忘我、って感覚に似ているような遠い明かりを思わせる味がある。ただ、短編なので何を描いて何を描かないかという取捨選択のバランスは難しいとは思うけれど、狼の戦闘能力の高さや、そんな危険の狼のいる雪山に赴く理由をしっかりと描いておかないと、作品全体の説得力にも影響してくるのかもしれない…と思った。

 音楽が重要な位置を占めると思われるシリアスっぽい短編見るゲで、しかもやみっちとライチが出てくるという、No.23 ピアニッシモと共通点が多いのであわせてプレイするのもいいかもしれない。

『一番輝く星を探して』のダウンロード

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No.9 もしもクトゥルフ神話TRPGをやって遊んだら

WS000682 CoCリプレイ見るゲ。制作時間の確保に窮したとのことだが、作品からはそういう気配は感じられず丁寧に作られており、相変わらず安定してかなり面白い。シナリオはクトゥルフ2015より「祭りの終わり」。

 TRPGやCoC初心者を意識したともあり、それらについての解説があったり、いつも通りアレックスがキーパー(ゲームマスター)をやるのではなくサブに徹し、やみっちがキーパーをやるという内容になっているので、キーパーについてもどういう感じなのかという雰囲気もつかめるかもしれない。
 ブライアンとわてりのマンチキン(wikipediaによると、自分のPCが有利になるように周囲にワガママをがなりたてる、聞き分けのない子供のようなプレイヤーの意……とあるが本作では突拍子のないことを始めて場を荒らすといった印象)と、それに困惑するやみっち等、もしもキャラ達の賑やかなプレイが楽しい。ホラー感はあまりない。
 冒頭でやみっちがTRPGをするためのテーブル周りを掃除したり、おやつを用意したりとプレイされている「場」を描いているのも経験者感があってなんかいいなと思った。プレイ時間は2時間ほど。チャプターセレクト機能もある。同名のタイトルの作品が複数存在し、そちらもおすすめ。

『もしもクトゥルフ神話TRPGをやって遊んだら』のダウンロード(VIPRPG紅白2016)

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右のSSのブライアン(赤い鎧)の位置に注目

No.14 ライチ軍団VSムライチ軍団

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 『ライチ軍団VSムライチ軍団』は一人用カードゲームだが、まずは左のSSを見てほしい。画面上部分の7つに区切られたフィールドに、一枚ずつカードを手札(左下の5枚)からプレイしてライチの人数を増やし、一定枚数のカードを使用後に勝利条件のライチの人数(SSで言うと10とか3とかの数字)を満たすことがゲームの目的となっている。ちなみに『シェフィ』というゲームが元ネタになっており、それに独自の工夫を加えたものであるらしい。

 デッキはあらかじめ用意されており、カードの効果は「場に出ているカードを一枚コピーする(右のSS)」「場に出ている最大ランクのライチカードの一つ下のランクのライチカードを3枚場に置く」「場に出ているカードを一まとめにしてランクアップさせる」等がある。"ランクって何?"という疑問が生じると思うが、ライチ1人のカードがランクアップするとライチ3人になり、ライチ3人のカードがランクアップするとライチ10人になる。あまりうまく説明できていないが、実際にやってみるとすぐにわかると思う。カードの効果はシフトキーで確認できる。
 勝利条件を満たすために立ちふさがる障害ももちろん存在する。それは敵の攻撃だ。敵の攻撃はあらかじめ予告されており(画面右下)、「場に出ているライチカードを一枚捨て札にする」「場に出ている最大ランクのライチカードを一枚ランクダウンさせる」等のものがある。それに対して自分のカードの「相手の攻撃カードを捨て札にする」という効果で対抗していくのだが、もちろん全てのカードを捨て札にすることはできないバランスになっているので、敵の攻撃の効力を弱めるように自分の手札からカードをプレイしていく必要がある。例えば、「場に出ているライチカードを一枚捨て札にする」という敵の攻撃カードに対しては、ランクの高い(人数の多い)ライチカードを捨て札にしたくないので、ランクの低いライチカードを捨て札に出来るように事前に準備していく、等。相手の攻撃カードをかいくぐりつつ、場に出ているライチカードの人数を増やしていく。しかし、増やすことばかり考えていて、例えば"場にはライチ1000人カードが一枚だけ存在しており、それで勝利条件を満たしているが、敵が予告しているライチカードを一枚捨て札にするという攻撃カードに対する応手がない"というような状況になってしまうと敗北となるので、その攻めと守りのバランスを、運の要素(手札のドロー)をコントロールしながら考えていくのがとても面白い。カードゲームや頭を使うゲームが好きな方に非常におすすめ。

 とても面白いのだが、全3戦とボリュームが少なく、ドローの運が悪いとどうしようもなく負けるのにもかかわらず一回敗北すると最初からに戻されるリトライ性の悪さが気になった……と書こうと思っているうちにアップデートでゲームモードが追加されたようだ。早速やってみよう。

『ライチ軍団VSムライチ軍団』のダウンロード(VIPRPG紅白2016)

No.16 キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~

WS000387  『キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~』は、「ブロック崩し」という古典的なゲームに独自の工夫を加えたユニークな作品。

 ATK、DEF*2、TECの4か所に「魔法」をセットすることで、ボールがオブジェクトにぶつかったときに爆発を引き起こしたり、ボールを跳ね返すための棒(杖)を横に長くしたりする等の有利な効果を時間制限付きで発動することができる。
 また、ステージの最後にはボスがいたり、棒(杖)を狙って攻撃してくる(命中すると杖が麻痺したり画面外に消える等の状態異常になったりする)敵がいたりとシューティングゲーム的なプレイ感もある。さらに、ステージにはギミックがあり(例えばボールを火をつけて氷のオブジェクトを溶かして壊したり)、プレイヤーを飽きさせない。

 さらに、ステージごとに挿入されるストーリーパートでは、少女っぽい印象のキャロルとこうもりの冒険が描かれ、細部まで作りこまれた演出が光っている。この部分だけでも見ていて楽しい。
 90分程度のプレイ時間の中に、面白さが凝縮されており気軽にプレイできる作品という感じ。オリジナリティもありプレイアビリティも高い。後半になると難易度も上昇するが、ボールがゆっくりになり残機が増える「やさしさモード」もあるので苦手な方も安心できる。一つ気になった点を挙げるなら(まだ公開されたばかりなので将来的にアップデートされる可能性もある)、一部の魔法が強すぎてせっかく9種類あるのにあまり使わない魔法が結構あることくらいだろうか。

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『キャロルのブロック崩し~いにしえの魔導書~』のダウンロード(VIPRPG紅白2016)

No.20 Dの冒険7 ~Dの謎!?~

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(左)ノリがコロコロコミックみたい。

 いつものあの人の作品。KPG(カード+RPG)というジャンルがうたわれているが(しかもcardなのに"K"PG)、ゲームシステムとしてはギミック入りのデフォ戦RPGだ。わざと中学生っぽい感じにしてる文章の書き方とか、画像の雑な加工とか、演出とか、この人の作品はとても特徴的で個性的なのですぐ作者がわかった。
 物語の大きな流れとしてはRPG的な予定調和の展開なのかもしれないけど、そこにうんざりさせないっていうか、各地で起こる会話やエピソードは何が起きてもおかしくないし予想できないような、わくわく感が楽しかった。独特の味とオリジナリティが凄い。
 オリジナリティといえば、仲間が増えるにつれて、パーティメンバーを入れ替えられるというよくあるシステムではなく、4人目の仲間枠で合体して一体のキャラクターとして扱われる適当な感じも良かった。発想がすごい。初めて見たわ。

 終盤は熱い展開になっていくのだけれど、基本的に中学生っぽい感じの文章とテンション高めのノリで進むのでちょっと疲れるのが玉に瑕かもしれない。
 こういう見た目のゲームだけど、実はプレイアビリティに配慮されているのも嬉しい。難しめの謎解きを数回失敗すると救済措置が現れたり、戦闘やダンジョンについても同様。

『No.20 Dの冒険7 ~Dの謎!?~』のダウンロード

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(左)氷のFISSH

No.23 ピアニッシモ

WS000691 15分程度の見るゲ。ピアノを弾いていたライチが不思議な世界に迷い込む。絵本とかでありそうな感じのお話だと感じた(詳細は忘れてしまったが、悪いことをしたこどもが押入れの中に入れられて、そこから不思議な世界にワープして冒険するというちょっと怖い感じの、いつか読んだと思う、たぶん絵本を思い出した)。ジャンルにシリアスとあるが、ギャグ的な要素が散りばめられているので重苦しいという感じはあんまりしなかった。アイデンティティと主体性(自分の行く末は自分で決めるというような)がテーマなのかな。

 ストーリー自体や、他ではあまり見ないユニークな表現が面白かった。一方、短編では特に、何を描いて何を描かないのかという取捨選択が重要になってくると思う。もしも世界は多くのプレイヤーが見慣れているので多くの説明を必要とせずとも理解されるが、この作品での不思議な世界はそうじゃないのでもうちょっと分量を割いても良かったのかもしれない…とも感じた。

 音楽が重要な位置を占めると思われるシリアスっぽい短編見るゲで、しかもやみっちとライチが出てくるという、No.8 一番輝く星を探してと共通点が多いのであわせてプレイするのもいいかもしれない。

『ピアニッシモ』のダウンロード

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No.60 かなしみの箱舟

 見るゲ短編集、全て見るとそれなりのボリュームがある。性的なネタとウィンディ成分が多め。ギャグも多いが、「孤独」「苦悩」「"普通"の眩しさ、遠さ」「劣等感・無力感」「老い」「自分の人生に対する虚無感」等の要素が短編集を通底している。ゲームにおける表現としても、独特な演出やマップ構成が光っている。『ドグマの箱庭』『引き裂かれたバダール』『アリスの標本箱』『シューニャの空箱』等を作られた作者さんによるものだと推察され、それらに関連した短編もある。

 特に良かったと感じた作品は、やっぱり長めの「スキゾフレニア・ライチ」と「アリシアのパンセ」の二つ。
 「スキゾフレニア・ライチ」では、この短編集に通底している多くの要素が集約されていて、"普通"の人々が見過ごしていたり馬鹿にしている(作中のシーンにもあるように)が、そこに確かに存在している人々の生活や感情を確かな筆致で描いているところがすごくいいなと思いました。
 「アリシアのパンセ」では、「理性と経験」「普遍と個別」「学び」のような内容が扱われ、本短編集中で一番心を揺さぶられました。とくに終盤で目頭が熱くなった。あるシーンでサガフロ2のBGMが使われていて、ギュスターヴの術不能者の人生と、イシュチェルの魔法が使えないということが重なって感じられていい効果を生み出しており、BGMの可能性も感じました。

 良かったと感じたところはもっとたくさんあるのに、自分の言葉でうまく語れないので、邪道なやり方ですが印象的だったシーンのSSを8枚貼らせてください。個人的なセレクトなので作品の全体をうまく要約しているわけではありませんのでご注意を。

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かなしみの箱舟』のダウンロード(VIPRPG紅白2016)

No.66 ほのぼの短編集☆

WS000638 短めの見るゲ短編集。作風から推察するに、2016夏の陣『謎が謎を呼んでいる』の人によるものかもしれないと感想掲示板でも言われている。独特のセンスのあるユーモアと、懐かしのFLASH動画的な勢いとシュールさが面白い。

 個人的に特に面白いと感じた作品は、「書初めをしよう」と「お寿司を食べよう」。「書初めをしよう」で使われている書初めはどうやって用意したんだろうと思っていたが(拾った画像と手書き風フォントの合成か?いやしかし、光の具合がばらばらだな…!?)、スタッフロールによると自作であるようだ。この手作り感もまたいい味を出していると思った。

『ほのぼの短編集☆』のダウンロード(VIPRPG紅白2016) 


以下、公開されたゲームをプレイし次第、追加更新予定。

一つ前のお祭り:VIPRPG夏の陣2016から選んだ7作品の感想
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 近頃は、ゲーム全般(フリーゲーム、ハースストーン、Steam等)とニコ生、鬱な邦楽ロック、純文学(主に村上春樹)等について書いていることが多いブログです。

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この記事を書いた人

konoha  konohaTwitternote

 この世は生き地獄。争いが果てぬ阿修羅の世界。創作の光だけが救いだ。ネットの暗部ばかり見ている病的な人間です。不条理で悪がはびこる世界と社会に対して強い憎しみを抱いています。 学校が嫌いだった。「明るく」「協調」「頑張る」吐き気がする。 その他、詳しいプロフィール