優れた作品が続々と公開されており、近年のフリーゲームを語るうえで外せないVIPRPG。シェアードワールドのメリットもあってか、気軽にプレイでき、面白さにアクセスしやすい作品が多いのが特徴かもしれません。

 そんなVIPRPGを私が実際にプレイした作品の中から、独自の目線で傑出した作品を12作(RPG6作・見るゲ2作・探索ADV2作・パズル2作)厳選して紹介していきます。新しめ(2014・2015・2016)の作品が多め。タイトルがリンクされている作品は、クリックすると詳細な記事に飛びます。

 VIPRPG作品はRPG_RT.exeが抜かれているので他のツクール2000作品から持ってくるか、RPGツクールローダーを使うのがおすすめ。また、1作品除きツクール2000によって製作されているのでRPGツクール2000 RTPが必要。

 
※VIPRPG特有の世界観、"もしも"(シェアードワールド)について「これをプレイすれば全体像が大体わかる!」というような作品を少し探してみましたが見つかりませんでした。シェアードワールドはその時代の作者達によって流動的に変化していくものだと思うので、教科書的な作品を探すより何作かプレイしていくうちに自然とわかってくると思います。私もそうでした。

17/6/23 追記『もしもンクエストモンスターズ2 ポテチのふしぎな鍵』(育成RPG)を追加したい。ここにも後で書きますが、リンク先の記事にすでに記述があります。


目次
  1. RPG(6作品)
  2. 見るゲ(2作品)
  3. 探索アドベンチャー(2作品)
  4. パズル(2作品)

1.RPG(6作品)

ふしぎの城のヘレン

WS000127 言わずと知れた有名作。プレイ時間は4時間程度。"もしも"作品ですが、その世界観を知らなくてもゲームを楽しむ分には問題ないと思います。
 本作の運の要素のないよく練られたゲームシステムは、シンプルさと高い戦略性が両立されており高く評価されています。また、最初は字が読めない主人公・ヘレンが、様々な仕掛けのあるダンジョンに挑み、プレイヤーとともに世界の真相を少しずつ知っていくというストーリーも秀逸で、演出やよく動くドット絵等、どこをとっても隙が無い濃密な時間を過ごす事が出来ます。EXPを消費してアイテムを強化する成長要素もあります。
 戦闘において、ヘレンは弓矢や剣、魔法等のアイテムを用いて一対一で戦うのですが(画像を参考)、力押しでは勝てません。プレイヤーは常に相手の行動を念頭に置いて、隙をつくような戦い方が求められます。特徴的なシステムとしては、アイテムを使用するまでに待機時間があることです。例えば、大技の魔法サンダーは防御無視の大ダメージを敵に与える事が出来ますが、発動までの長い待機時間の間は防御力が0になるので考えなしに使用すると、発動する前に殴り殺されます。なので攻防一体の剣を使ったり、相手の大ぶりな攻撃に対しては盾を構えたりする必要があります。このように、アイテムごとに攻撃力・防御力・待機時間等が設定されており、相手の行動をよく観察して戦略を組み立てていくのがとても楽しいゲームです。ダウンロード

リナックス×メビウス

WS000328 リナックスとメビウスが色の失われた世界から脱出を目指します。プレイ時間は10~12時間ほど。"もしも"作品なので、その世界観を知らなくても楽しめるとは思いますが、知っていたほうが楽しめると思います。
 戦闘はツクール2000デフォルトですが、工夫されており新鮮な気持ちで楽しめます。装備品によってエレメントが変化し、そのエレメントによって使用できる魔法が変わるというシステムが特徴的。他にもチャージキューブを集めてキャラクターを強化するシステムや、アイテムを合成できる錬金壷などがあります。
 ダンジョンも適度な難易度のなかなか凝ったギミックがあり、楽しいです。エンカウント率は控えめで、一定以上弱い敵には「ふっとばし」て戦闘を終了させるマザー2のようなシステムもあり、総合的なバランスの取れた丁寧で遊びやすい作品だと思います。ダウンロード

LIGHT TOWER

WS000324 "もしも"作品なので、その世界観を知っていたほうが楽しめると思いますが、知っていなくてもゲームを楽しむ分には問題ないと思います。
 ライチ(光魔法の具現化)がやみっち(闇魔法の具現化)と時折「すまほ」で通話しながら、敵の身体を奪ってパーティに加え(最大3体まで)、Soulを貯めて自身や仲間にした敵を自由に強化しながらダンジョンに挑む。
 戦闘は全てシンボルエンカウントで、運の要素の無い戦略的なバトルが楽しめます。かと言ってパズル的になりすぎずに、色んなパーティや戦略で攻略していけ る自由度のある良作だと思います。敏捷が相手の2倍あると2回攻撃、3倍あると3回攻撃…という風になっているので、敏捷が重要なステータスになってきま す。キャラクターは全てスキルを持っており、これがまた楽しい悩みをもたらしてくれます。ライチのHPが0になるとゲームオーバー(やみっちのところに戻 る)、からだのHPが0になると消滅してしまうこともプレイヤーに戦略を要求してきます。また、やみっちとライチの掛け合いも楽しい。ダウンロード

セカジカ

WS000318 雪道(マップが無いダンジョン探索)ゲームの名作、中編RPG。"もしも"ではないオリジナル作品。自作戦闘(FF2風)。
 9種類の職業から4人パーティを作り、ひたすらダンジョンに潜る。ダンジョンではイベントが起き、強い敵と戦ったりレアアイテムを見つけたりします。
 作者様によると「難易度は、サンドバック覚悟の最凶。夏の陣で一番 理不尽で難しいかも・・・」とのことですが、そんなに難易度が高いとは感じませんでした(ネットでも同意見の方を見かけました)。ダウンロード
 本作が気に入った方には、同じ作者様による冒険者達の晩餐も非常におすすめ。

ヨロズ英雄譚

WS000001 サガ・フロンティア1風の自作戦闘を搭載したRPG。
 戦闘だけでなく、ストーリーや世界観、BGMまでもがサガフロチック。もちろん技のひらめきもあるし、たくさんのキャラクターを仲間にできる。
 本家サガフロよりキャラクターの会話が多く、ストーリー性が高いところも良かった。作者の方のサガフロ愛を感じる。ダウンロード

シューニャの空箱

syunya "もしも"の世界観を知らなくても楽しめると思います。「ドグマの箱庭」「引き裂かれたバダール」「アリスの標本箱」「ポイズン・セレクション」からなるドグマシリーズの最終作。私はシューニャの空箱からプレイしましたが、十分楽しめました。でも、他の作品をやってからのほうがいいのかもしれません。
 すごく独特な作品で、コンシューマーのゲームを中心にやっている方はとても驚くのではないでしょうか。エログロな要素や、出会いと別れ、老いと死などが描かれており退廃的でカオスな世界観を醸しだしています。戦闘システムはツクール2000デフォルトのものですが、バランス調整が綿密に行われているので面白いです。フリーゲームならではの独特な作品がやりたい方や、文学作品のように表現性が優れており何かが得られそうな作品がやりたい方にお勧め。ダウンロード

2.見るゲ(2作品)

謎が謎を呼んでいる

WS000060 プレイ時間・20分程度の短編作品。"もしも"の世界観を知っていないと厳しいかもしれません。
 やみっちやライチたちが学校に行ったり、美術館に抽象画を見に行ったり、スーパーに買い物に行ったりするお話。
 常に独特なユーモアのセンスが発揮されていて、見ていて面白い。こういう肩肘張らない作品を楽しめるのもフリーゲームの魅力の一つかもしれませんね。
 特に好きなシーンは、電車に乗るところ(左上の画像、そこに乗るのかよ!)。文章や話の展開だけでなく、キャラクターの動きや効果音なども独特なおかしさがある。会話もボケとツッコミで進んでいく典型的な流れというより、うまく流して話を進めたり、突然変なことを口走ったりする独特の空気感がとても魅力的だった。このセンスはなかなか真似できないと思う。ダウンロード
 本作が気に入った方には、作風がとても似ているので同じ作者様によると思われるおじいちゃんファンタジア(夏の陣2015)もおすすめ。

もしもクトゥルフ神話TRPGして遊んだら

WS000085 クトゥルフ神話TRPGのリプレイ見るゲ。クトゥルフ神話TRPGの不気味で謎めいた感じと、"もしも"の楽しい雰囲気が融合している質の高い作品。"もしも"の世界観を知っているほうが楽しめると思います。シナリオは2010より「奇妙な共闘」。おまけとして「クトゥルフ2015の解説」もある。
 ゲームマスターとしていい味を出しているアレックスと、やみっちライチウィンディわてりむーちゃん達が謎めいた事件に挑む。TRPGの即興性や、プレイヤーによって展開が変わるという魅力が存分に発揮されていたと思う。私はTRPGを一回しかやったことがなかったが、これをきっかけに興味を持った。ダウンロード
 ニコニコ動画などでリプレイを漁ったりもしてみたが、ジーノ氏製作の本作のシリーズ(他にも夏の陣2015 No.9,GW2015 No.30,紅白2014 No.64がある。すべてプレイしたがどれも面白かった)が結局一番面白かったと感じた。さらに、同じ紅白2015にはNo.06 魔法達のCoC~魚人間達の街からの脱出~があるが、こちらもまた違った感触で面白かったのでおすすめ。

3.探索アドベンチャー(2作品)

ライチのお家とウィンディの冒険

WS000129 二作の独立した探索アドベンチャーが楽しめる作品。"もしも"の世界観を知っているほうが楽しめると思います。
 「探検!ライチのお家」は、「ライチの家を歩き回るほのぼの百合探索ホラーゲー。広すぎる自分の家から引っ越す事を考えたライチ、家に残してしまう物なら何でもあげると聞いてやみっちと勇者達が行く事に。君はお宝を全部集めてもいいし、中途半端に周って帰ってもいい、ただしあるお宝を手に入れるとEDが大きく変化するというウワサ。」(作者コメントより)。
 「ウィンディの冒険」は、「ウィンドⅠが一人旅をする魔王把握ゲー。黒コゲになったり、ぺしゃんこになったり、色々リアクションを取ってくれます。ちょっとした事(階段を下るなど)でも死にまくりますが残機システムやゲームオーバーは無いので安心して死ねます。」(作者コメントより)。

 本作の作者・牧場の牛肉氏の他のゲームにも言えることだと思いますが、マップが丁寧に作りこまれていて美しく魅力的で、探索していて非常に楽しいダウンロード
 他にも高水準なゲームを多数発表されているので、もっと同作者様のゲームがやりたい方は、牧場の牛肉氏のブログ「ナンバー2がいい」の祭り作品 or 大物系ksgの記事にまとまっているのでおすすめ。マップマテリアルには私もお世話になっています。

ザ・スクールジャック

WS000100 犯罪小説のように、スクールジャックを行うコンプレックスにまみれた犯罪者の犯行を追体験できるゲーム。過去の事件を元ネタにした不謹慎なイベントや、人によっては気分が悪くなるようなイベントが満載されているので、とても人を選ぶ作品。そういった表現が苦手な方はプレイしないほうがいいかもしれません。しかし、不謹慎な一発ネタ的な作品ではなく、ゲームシステムはとても作りこまれているし、キャラクターの心情も掘り下げられています。不謹慎ネタはフリーゲームの古典的題材です。

 繰り返しのプレイが前提されており(条件を満たせば5個までアイテムを引き継げる)、最初は学校で起きている状況がわからずにすぐに返り討ちにあってしまいますが、繰り返しているうちに犯行が洗練されていき、さながら優秀なサイコパス、シリアルキラーの犯行を追体験しているような感覚が魅力的でした(しかし、主人公・呈朗の心は異常というよりどこまでも人間的)。また、犯行前に行うBGMの選択が高揚感を煽ってくる。ダウンロード(要RPGツクールVX RTP


4.パズル(2作品)

Win' Wind' Windy

WS000130 高水準なアクションパズル。敵に触れると一発でやられるウィンディ(自動でゆっくりと歩いていく)をゴールまで導くゲーム。ただし、ステージ上には障害物があるので、プレイヤーが色んな効果を持つパネルを配置して助けてあげなければならない。

 私は今までパズルというジャンルはSFCの『マリオのピクロス』くらいしかやった記憶がなかったが、本作のプレイをきっかけにパズルというジャンルの面白さを知った。難易度も程よいと感じたので、普段パズルをやらない方にもおすすめ。難易度を選択できるので、パズルフリークな方にもおすすめできる。ダウンロード

しろくろシンドローム

WS000002 こちらも高水準なアクションパズル。先ほどご紹介した『Win' Wind' Windy』に比べると非常に練りこまれた難易度の高いステージが後半に配置されているのが特徴だろうか。もちろん、序盤のステージは難易度が抑えられているのでパズル初心者も楽しめる。
 キャラクターをゴールの扉まで移動させるのが目的で、その過程にある障害を二段ジャンプやブロック破壊で乗り越えていくのだが、それらのスキルは使える回数が制限されているため、どの手順で使うのかを試行錯誤するのが楽しい。ルールもシンプルで、難易度もちょうどよかった。
 ただ私はパズルがあまり得意ではないのでステージ21以降はほぼ解けていないが、パズルフリークの方々には好評なようだ。ダウンロード
 もっとパズルゲーがやりたいという方には、デュラハンさんの頭をお持ち帰りするもおすすめ。


 さて、以上12作品をご紹介しましたがお気に入りの作品は見つかりましたか? さらにVIPRPG作品を探したい方には、tag:VIPRPGもおすすめです。

また、過去の作品はまだプレイできていない作品も多いので、名作・傑作を見つけたら折に触れて追加していきたいと思っています。もちろん新作も。


先月からツイッター始めました。@sdw_konohaをフォローや、いいね・リツイートお願いします!  とても喜んでモチベ上がります。
  
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 近頃は、ゲーム全般(フリーゲーム、ハースストーン、Steam等)とニコ生、鬱な邦楽ロック、純文学(主に村上春樹)等について書いていることが多いブログです。

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この記事を書いた人

konoha  konohaTwitternote[創作関連]

 この世は生き地獄。争いが果てぬ阿修羅の世界。創作の光だけが救いだ。ネットの暗部ばかり見ている病的な人間です。不条理で悪がはびこる世界と社会に対して強い憎しみを抱いています。 学校が嫌いだった。「明るく」「協調」「頑張る」吐き気がする。 息苦しい国だ。 その他、詳しいプロフィール