(意外と需要があるみたいなので大幅に加筆修正。他にも読んでいて良いと思った作品があるので、しばらくしたらまた更新します(17/1/21))

 アニメ版「けいおん!」の放送期間は、第1期が2009年4月2日~6月25日、第2期が2010年4月6日~9月28日である。映画版の公開日が2011年12月3日である。そして今は、2017年である。ずいぶん時間が経ったなぁ…。あのころ好きだったけいおんSSを改めて読み返すと、いつかどこかに置き忘れてきた何かを思い出せそうな気がしてくる。「旅立つ僕の為に ちかったあの夢は 古ぼけた教室の すみにおきざりのまま」(槇原敬之『どんなときも。』)じゃないけど。

 切ない・鬱系多めのセレクトです。唯達が高校を卒業した後、大学に行って、社会人になって……という話が好きです。あずまんが大王最終回みたいな切ない別れ、成長し人生を歩んでいくキャラ達、微かな希望と日々の暮らし……のようなものを目の当たりにして感傷的になりたい。憂鬱さに包まれながらも、軽妙で明るいいつもの会話で進んでいくような作品を読みたい。

前置き(16/10/6版)
 なぜ今頃『けいおん!』(日常系アニメ)の二次創作SS、と問われたら返す言葉はないのですが、ふと思い出して再読したらとても面白かったのでご紹介します。
 まず前提として、最近のアニメ事情やSS事情は知りませんが、当時の日常系アニメのSSは原作のほのぼの感・平和さとは対照的に、キャラクターが悲惨な目に合う陰惨なSSが多かったと記憶しています(『みなみけ』や『ひだまりスケッチ』の原作もSSも好きだった)。なので、原作を心から愛していて二次創作を認めないという方は読むことを推奨しません


もくじ(括弧内は個人的所感によるジャンルなので参考程度に)

澪「なんか…2期って平沢さん押しだよね事務所…」

http://blog.livedoor.jp/goldennews/archives/51473987.html

 女性同士の人間関係のドロドロ感・ギスギス感を見事に描き出していると思う。あまりにも裏表があり、本音を隠して建前で権力闘争を行うさまはむしろ清々しいという域にすら達しており、風刺的で痛快な笑いが出てくる。
 澪と律の電話のシーンとか、唯の絶対本音を言わないけど自分の障害になりそうな要素は徹底的につぶしていく感じとか、さわ子の律と梓に対する態度の違いとか好きだなぁ。終始冷めていた感じの梓のあのラストシーンは納得、という感じ。

 とくに好きな部分を引用しよう。
唯「っていうか~ 澪ちゃんほんと美人さんなのに謙虚だよね~!
私が澪ちゃんだったらいっぱい自慢しちゃうよ~!
化粧とかしないと思うし!今もほとんどしてないけど~」

澪(嘘つけ!見事なナチュラルメイクしてる癖にどの口が…!
ナチュラルメイクは、ナチュラルなメイクじゃなくて
ナチュラルに見えるような手の込んだ厚化粧だというのに…
てかここ女しかいないから別に化粧バレバレだし嘘つく必要とかないのに…)

律「そんな唯が、もうすぐ結婚するんだ」

http://keionmatome.blog129.fc2.com/blog-entry-163.html

 もうタイトルからしてインパクトがすごい。「そんな唯」とか「もうすぐ結婚」とか、言葉選びがすごく切ない。内容もそれに勝るとも劣らない。唯だけでなく、梓がプロミュージシャンになっていたり、澪が大手企業の営業をしているのに対し、就活をせずにずっとフリーターを続けている律は置いていかれたような感覚を覚えている。かつての親友達と会っても「違和感」があった。
しかし、唯の結婚式で再び集まって演奏をするために皆で練習をし始め、少しずつ何かが変わり始めていく。

私の横を、相合傘のカップルが通り過ぎた。

私はふとそのカップルを眺めて、唯のことを思った。

律「・・・唯・・・」

一番変わったのは、唯かもしれない。

唯は大学に入ってから、天然が若干落ち着いた気がした。

でもやっぱり唯は唯で、いつまでも高校時代のノリでいると思っていた。


でも・・・そんな唯が、もうすぐ結婚するんだ。

唯「ギコギコギコギコギコ」

http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-3418.html
http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-3419.html
http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-3420.html

 ある事故で死体が出てしまい、それを隠ぺいするためにHTTの面々が悪夢のような奮闘をする。スリリングでマジキチな傑作。

唯「大学つまんない……」

http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-5038.html

 大学へ行っても4人で固まっていたHTTの面々は、周囲から孤立し、またお互いにも不満が募り始めている。大学生活のありふれた闇と光を、同じ場所にいながらも生じるその強烈な対比を描いている。

澪「……」

紬「……」

律「……」

唯(このメンバー飽きた……)

唯「崩壊後ティータイム!」

http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-3628.html

 HTTはプロの世界でもこれ以上ないくらいの成功をおさめ、富も名声も高校時代とは比べようもないくらいに得た。しかし、それは同時に彼女たちを縛り、強い重圧や悪意とも戦わなくてはならないということでもあった。破滅型ロックスターのように、彼女達を頂点まで上昇させた並外れた才能とその性向が、今度は逆に彼女達を底の底まで下降させる。

余りにも悪い顔色、窪んで黒ずんだ目、フラフラと覚束ない言動。
そしてヨレヨレのシャツの袖からチラリと見えた右腕は紫色に変色し、至る所に注射針の跡すら見える。
そのような状況では、この質問の答えなど明白に思えたが――。

梓「ドラッグ? あれは最高のモノですよ。毎日……今日だってキメてますし。
  最近は左腕どころか右腕に注射針を刺すところが無くなっちゃって困ってますね」

澪『同じ窓から見てた空』

http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-5916.html

 国立大学を卒業し、割と大きな企業で働いている、どこか物憂げで不器用な澪の視点で語られる。梓とは交友が続いている。騒がしく、慌ただしく過ぎていく日々の暮らし。そしてかつての仲間たちと再会し、その驚くべき変化と成長に括目する。

続編:澪『永遠にともに』

唯は何処となく憂いを帯びたような声でそう続け、白い溜息を虚空へ送り出し、こう言った。

「歩くスピードが変わってた」

速くなってたの、と唯。

「幼稚園からずっと一緒だったからね、それがお互いよく分かったんだ。
 和ちゃん、今迄ずっと私に合わせてくれてたんだ……って。
 それが私と離れてからは何の枷も無くなって、元のスピードに戻ったんだ……って」

「唯……」

くるっと振り返り、唯は続ける。

「でもね、和ちゃんはこう言ったの。
 『元のスピードは唯と同じよ。
  でも……私は変わったね。もう唯と一緒の早さで歩けなくなっちゃった』……って」

「和がそんな事を?」

うん、と唯。

「……寂しかった」

ポケットに手を突っ込んで、その言葉は続く。

「あんなに仲が良かったのに……
 たった何年か会わなかっただけで和ちゃんが取られちゃった……って思ったの。
 誰に、とか……何に、とかじゃなくて、取られちゃったんだ……って」

唯「やや!」

http://minaminoxxxsummer.blog49.fc2.com/blog-entry-692.html
http://minaminoxxxsummer.blog49.fc2.com/blog-entry-693.html

  大学を卒業し会社員になった唯は、地元を離れて一人暮らしをしていた。
慌ただしく過ぎていく毎日の中、ある日唯は寝坊をして会社を休む。
久々に部屋の掃除をしていると、埃をかぶったギー太と、ある古ぼけた本を発見する。
――それは「桜高軽音部卒業アルバム」だった。
輝いていたあの時代の思い出が、不意にあふれ出す。

 けいおんSSってキャラクターの性格が原作からかけ離れていたりする作品も割とあるけど、この作品はセリフがアニメの声優ボイスで脳内再生されるような、原作感があった。軽妙な会話だけでなく、会話が行われている「場」を描くのもうまくて、しみじみと切なくてあったかいような気持ちになれた。

"何があっても私達は仲間だ!私達が一番輝いていた「この時代」を忘れないように!"

唯「りゅうねん!」

http://2ch-index.seesaa.net/article/160230018.html

 ギャグのセンスがすごくて笑えるww

唯「あっはっは……留年しちった……」

梓「……マジですか?」

唯「……」

梓「嘘でしょ……」

唯「グス……」

梓「ごめんね、もう休ませて。次はいつにする?」

http://tekitouvip.blog107.fc2.com/blog-entry-223.html

 商業的な大成功を収めた放課後ティータイムが解散した後、とある街の図書館で資料整理のアルバイトをしている梓が、当時のことを回想し、独白していく。

梓「これだけは忘れないで。私たちは喧嘩別れしたんじゃない、
ずっと友達だった。けど、お互いにどう接すればいいか分からなくなってしまっただけ。
もっとちゃんと話して、分かり合っていたら、こんなことにはならなかった」

唯 「ぐっど ばい」

http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-964.html
http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-969.html
http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-970.html
http://sshozonbasho.blog90.fc2.com/blog-entry-971.html

 唯がニートになっていたり、他のメンバーもそれぞれ病んでいたり壊れていたりと、五者五様の滅びが描かれている。救いがなく底なし沼にはまりこんでいくような陰鬱さと、要所要所の鋭い表現がこの作品の魅力だと感じた。

憂 「なんで働いちゃだめだなの?」

唯 「私、通勤電車に乗ったことがあるんだよ」

憂 「 ? 」

唯 「みんな、不機嫌な顔してて、どこかに席が空いてないか、すごい目で探してるんだよ」

憂 「大丈夫だよ。みんながみんなそういうわけじゃないよ、きっと」

唯 「でも、澪ちゃんは公務員になるためにすごい勉強してるよ」

憂 「澪さん、がんばってるよね、まだ真中くらいらしいけど、成績も上がってきてるみたいだし」

唯 「でも、成績が上がるたびに、自分より低い成績の人間をバカにしていってる」

憂 「……」

唯 「きっと、お給料をもらうようになったら、自分より低いお給料の人をバカにするようになるんだよ」



 確か近い時期にアニメ化されてSSも書かれていた『みなみけ』は、とても独特なユーモアのある漫画だと思う。漫画版も持ってるし、アニメは2期以外3周したなぁ。

[ 今日のひとこと 16/10/6]
 ハースストーン、7枚のカードのナーフ来ましたね。私が相当つまらないと感じていたヨグサロン(それまでのゲームの展開にほとんど関係なく勝敗が決まってしまう。数々の名試合をぶち壊してきたカード。プロがしのぎを削る大会でも猛威を振るっていた)、荒野の呼び声(二枚連打されたら基本的にゲームセット、一枚でも相当強い。しかし単純にこのカードを弱くし過ぎると、ハンターが弱くなりすぎる懸念があるので他のカード、例えばキングクラッシュ等も同時に見直してほしかった)、突撃(OTKウォリは個人的に対戦していてつまらない。勝負どころが相手のソーリサンに合わせて挑発ミニオンを出しOTK防止を狙っていくことくらいしかなく、基本攻め攻めで押して相手のコンボが決まる前に勝てるかという感じで、読み合いとか思考の交錯といったものに乏しいように思う。自分と対戦相手が別々の方向を向いて別々のゲームをやっていてどちらが先にクリアできるか?というような感触が面白くない)あたりがとくに嬉しい調整でした。
  
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