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  私はテレビ番組はもう何年もほとんど見ていないが、本を読んだりゲームをする時に裏でニコニコ生放送(以下、ニコ生)をよくラジオ代わりに流している。そして面白そうな気配を感じると手を止めてじっくりと見たりしている。ゲームの生放送という文化はとても面白いと思うが、問題点も抱えていると思うので少し考えてみたい。そして、面白いゲーム生主「シンジ」についても紹介したい。

ニコ生と「煽り」の文化

 ニコニコ生放送には「煽り」(挑発的・攻撃的な発言)という文化があるが、少々荒っぽい面があるもののこれはこれで放送を盛り上げる要素になっていることも多いと思う。プロレス的、フリースタイルダンジョン的な面白さがある。しかし「煽り」にはセンスが必要であり、センスやユーモアがない煽りはただの誹謗中傷であると思う。中傷されている放送主よりも中傷しているコメント主のほうがはるかにつまらないことが多いように感じる。しかし、あまりに厳しいルールをしいてしまっては息苦しくなってしまうと思うのでバランスが難しい。

ニコ生と労働問題

 また、ゲーム生主がゲーム放送をしているのに、いつの間にか放送主の職業や社会的地位を煽るような流れになることもよくあると思う。私は夜にジョギングをするのが結構好きで、たまに夜遅くにもかかわらず道路工事をしている人や交通整理をしている人を見かける。そういう方々を見ると深い尊敬の念を覚える。必死で働く立派な労働者達をどうして非難することができようか。
 ニートだって私は非難できないと考えている。競争原理を含む資本主義下において、これだけ日本の労働環境が劣悪なものとなり、過労死(参考:「過労死」が減らないのはなぜか過労死白書の根拠データが若い世代のサービス残業等の実態を反映していない問題)、サービス残業(参考:残業代が全額支払われているのは5割弱 サービス残業が5割強)、非正規雇用・ワーキングプア(参考:非正規雇用の貧民が「アベノミクス死ね」と願った理由)、就職難(参考:就活のせいで自殺するかもしれません )等の問題が発生しているのだから。
 でもまあ、そんなことリアルでは場所と言葉を慎重に選ばないとなかなか言えませんよね。「仕事楽しい!!この身果てるまで組織のためにどこまでも滅私奉公したい!!」という風に振る舞わなければ白い目で見られたり、人事評価に影響することも考えられますからね。労働問題について言及することすら許されない雰囲気が日本社会にはあると感じます。

 また、ニコ生では「労働者」対「ニート」や、労働者同士でも賃金や待遇の差を比べて争いあうというような構図がしばしば見られる。しかし、本当に戦うべき、批判すべきはそういった困難でストレスフルな状況を作り出している人間達、つまりは甘い汁を吸っているあくどい政治家、ブラック企業の経営者達や資本主義というシステムそのものではないか、というような疑問を禁じ得ない。

ニコ生と他配信サイトを比較した場合の問題

 ニコ生はほかの配信サイトに比べてユーザーにとっての機能的な問題(「枠移動」があることや低画質であること等。ただコメントと放送のラグが少ないところは優れている。また他の配信サイトに比べて人がずっと多い)があったり、短絡的すぎる感情的反応としての誹謗中傷が多いというような問題(放送主がリスナーを制御しきれず無法地帯となっているような放送は見づらい…、でも「囲い」放送(生主の信者しかコメントしない)もつまらないんだよなぁ)も抱えているとは思うが、それを差し引いてもニコ生、リアルタイムで放送主がゲームをプレイしリスナーのコメントが返ってくる生放送という文化は面白いと思う。

最近面白いゲーム生主「シンジ」の魅力

 ここまで問題点を並べ立てるだけでニコ生の魅力を語っていないので、私が今面白いと感じているゲーム生主(生放送主)を挙げたいと思う。それは「シンジ」(シンジの放送しナイト!)である。ニコ生は良い場面を切り取ったような動画と違って、ある程度長い目で見る必要がある(30分ほど見ただけではその放送が面白いかどうかは判断しきれない)。また、コミュニティごとに共有されており、前提となっている情報を知らないと何で盛り上がっているのかわからないというようなことも起こる。ニコ生の魅力の一つは、リアルな人間関係を築かなくても「内輪ネタ」的な楽しみを享受できることなのかもしれない。

 シンジは、「俺についてこれる奴だけついてこい。それが嫌な奴は"あ、おまNG"。"コミュ抜けとけよ"」(要は嫌なら出ていけということ)という非常に好き嫌いが分かれるようなスタイルをとる。このスタイルは誰にでも真似のできるものではない。なぜなら魅力がないと誰も付いてこないからだ。そして彼の周りには、頻繁に1万円の電子マネーを送ってくる熱心なファンが何人かいる。そんな生主はそうそういない。
 シンジはセンスのある煽りと絶妙なユーモアで放送を盛り上げている。特に最近は自分の生活苦をネタにした身を削るようなユーモア(ウイイレ[ウイニングイレブン2017、サッカーゲーム]のガチャ[ギャンブル的な課金要素]をやって、「俺の時給が一分で消えたんだが~」とかだいぶ笑った)を繰り出してくるが、これもまた面白い。シンジの放送では、ネットでよく言われる「ワロタwww(真顔)」的な笑いではなく、声を出して笑ってしまうことがよくある。
 そして、リスナーとのやり取りも面白い。強気にゲームしているシンジが約10万円ものお金をウイイレのガチャに投じ強力な選手をそろえたにもかかわらず、試合に負けそうという状況で「俺気づいた。悪いのは選手じゃない。俺だ…」とつぶやき、リスナーが「www」「あ」「気づいちゃった感じだ?w」「気づくのちょっと遅いかもw」のようにいかにも軽い感じのコメントを返すのだがこれもけっこう好きだ。
 他にも定番の流れがあり、それはシンジが定期的に問いかける「お前ら~、好きな生主だれ~?」という質問に対し、リスナーは「ぬw」「ぬw」「ぬw」「ぬちやんw」のように返すというものがある。ここで言われている「ぬ」や「ぬちやん」というのは、約二か月前に引退を表明した(周囲には復帰を予想している者もいるが、おそらく過去に例のない休止期間である。私も新たな要素を引っ提げてカムバックしてほしいと願っている)ドラクエ生主等として知られる「ぬっきー」(ぬっきーの好きにせえや)のことである。配信スタイルに似ている部分があるためか、シンジとぬっきーはライバルのような関係だった。ぬっきーは過去のドラクエ10放送で伝説的な面白さを誇っていた(彼の魅力についてはまた別の記事で詳しく語りたいと思っている)ので、シンジの放送でぬっきーの名前を出して「シンジはつまらない。ぬっきー最強」のような煽りコメントをする人が現れたため、シンジは「ぬっきー」「ぬっちゃん(愛称)」というワードをNGにしていた。そのNGワードをかいくぐるために編み出されたぬっきーの呼び名が「ぬ」または「ぬちやん」である。しかし、ある時期を境にぬっきーの放送の質が著しく低下し、過疎りはじめたので今となっては煽り的な意味合いは薄れ、お約束の流れとして定着している。同様に、シンジが自分でいいプレイした時などに発する「今の何点?」という言葉に対して、リスナーが「32」「33」「33」「34」のように返答するという流れがあるが、この数字もぬっきーの年齢だと言われているものだ。
 まだまだ語りたいことはたくさんあるが、私が書いていることはシンジのリスナーならだれでも知っている程度のことであるし、印象的な出来事があったときに取っておきたいと思う。

 以上のように、前提となっている情報が他にもあるので初見では面白さが伝わりにくいと思われるが、ニコ生には内輪ネタ的な楽しみに加え、人の人生を垣間見るような楽しみもあるので長い目で見ることをおすすめする(好き嫌いはあると思うが)。あと、もっと万人受けしそうな生主も紹介しようかと思ったが、私はそういう放送はあまり見ないので適当な生主が見つからなかったため割愛する。
 ニコ生には、タイムシフトという機能があり、プレミアム会員(月額540円)になっていれば過去の放送を1週間までさかのぼって見る事が出来るという機能があるが、1週間が経過すると有志の誰かが動画化しない限り二度と見る事はできなくなる。それはどんなに面白い配信をしていたとしてもだ。そういう即興性も魅力の一つだと思うが、忘れ去られるのは惜しいと思われる生主の思い出を記事にしていけたらいいなとも思っている。

関連:[ニコ生] 生主シンジがバンド編で作詞し自ら歌った『zero』の不揃いな魅力


FIFA 17
エレクトロニック・アーツ
2016-09-29


[あとがき]
 ハースストーン、カラザン環境はあまり好みでないので真剣にはやっていないのですが(9月シーズンはランク10あたりで終了)、ドラゴンパラディンはなかなか面白いです。ドラゴンメイジはあまり面白くなかったのでドラゴンデッキなら何でもいいというわけでもないようですが。もうすぐスタン落ちするTGTのトワイライトの守護者をクラフトしたくなかったので、トワイライト・ドレイクで代用していますがそんなには悪くないですね。アグロ系のデッキ等には挑発がないことがたたりますが。


  
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この記事を書いた人

konoha  konoha/コノラスTwitter [つぶやきと更新通知]note [喜怒哀楽に全力な日記]

 「良い作品と出会い、より深く楽しむためのレビュー・批評、そして思い出」を発信しているブロガー。好きなゲーム・音楽・文学などを全力で語る。嫌いな言葉は「明るく」「協調性」「頑張る」。学校が嫌いだった。近頃はnoteで、過去の重い話や好きなことで生きていくための歩みを書いている。

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